【世界の絶景】なぜそんな場所に?ギリシャの奇岩頂上に建つ「天空のメテオラ修道院」の美【眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産】

多種多様さに驚く!【テーマで読む世界遺産】

テーマを軸に読み解くことで、遺産が語りかけるストーリーやその価値がより鮮明に見えてきます。


祈りが進化させた美の世界遺産

メテオラの修道院群

天空に浮かぶ祈りの場

 ギリシャ中部にあるメテオラには、高さ約20〜400mの奇岩群の上に建つ修道院があります。メテオラとはギリシャ語で「中空に浮く」という意味で、修道院は岩山の形状に沿った独特の構造をしています。

 14世紀頃、ギリシャ正教の修道士たちは俗世を離れ、祈りと瞑想に没頭するため、山頂に修道院を築き始めました。当時は縄梯子や滑車しか搬送手段がなく、危険を伴う作業でした。最盛期には24の修道院があったとされ、現在は7の修道院が複合遺産に登録されています。近年は階段が整備され観光地化が進む一方、信仰生活を乱されることを嫌い、聖山アトスへ移る修道士も増え、観光と信仰の共存が課題として浮かびます。

【DATA】

  • 保有国:ギリシャ共和国
  • 登録年:1988年
  • 登録基準:(i)(ii)(iv)(v)(vii)

修道院には15〜16世紀に制作されたフレスコ画や聖画、古写本、典礼用具など、ギリシャ正教の美術品が多数保存されている。

【FOCUS】

奇岩は石灰岩が川に削られ、硬い堆積岩の地層が残ったことで生まれた。

【THINK!】観光地化が、修道士の生活に与える影響は?

イスファハーンのマスジェデ・ジャーメ(金曜モスク)

タイル装飾がきらめくイラン最古の礼拝堂

 イランの都市イスファハーンにあるマスジェデ・ジャーメは、イラン最古の「金曜モスク」とされます。イスラム教では日々の礼拝に加え、金曜日には合同礼拝を行います。この時、人々が集まるモスクを「金曜モスク」と呼びます。841年の建築当初は日干しレンガ造りでしたが、12世紀の大火後に再建。ササン朝の宮殿建築で用いられた「4(チャハル)イーワーン」をイスラム教の宗教建築に融合させた最初の建築となりました。これにより壮大な空間を実現し、それ以降のモスク設計における空間構成と意匠の原型になりました。

【DATA】

  • 保有国:イラン・イスラム共和国
  • 登録年:2012年
  • 登録基準:(ii)

「マスジェデ・ジャーメ」は直訳すると「人々が集まるモスク」。中央アジアにおけるモスク建築の代表例となった。

【FOCUS】

ドーム天井を飾る、美しく精緻なタイル装飾などが目を引く。

【THINK!】様式の「原型」は、どこで決まるのだろう?

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産』監修:宮澤 光 / イラスト:どくだみ三銃士

【監修者紹介】
宮澤 光(みやざわ・ひかる)
NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員。北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。跡見学園女子大学非常勤講師。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産』
監修:宮澤 光


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