【小説の書き方】「読みにくい」と即断される原稿の共通点。編集者が厳しくチェックする“視点のブレ”とは

\編集者の目に留まる物語創作のセオリー/

面白い物語の創作には、構成力が不可欠です。どこに山場を作るかという感情の設計から、読者が惹きつけられる冒頭の設計、すべてを設計していくのが構成です。


「誰の目線なのか」“主人公”を明確にする

視点がバラバラで定まらない原稿は、物語として成立しません。一人称・三人称・多視点が入り混じると、読者の感情移入を妨げてしまいます。

要点

  • 視点の乱れは「読みにくい」と即断される
  • 視点がぶれると感情移入しづらい
  • 視点の変更は明確な理由と構成が必要

感情移入の土台を固定する

 小説にとって大切な視点は、「その物語が、誰の物語として読めるかということ」です。一人称なのか、それとも三人称なのか、あるいは多視点なのかが曖昧な作品は、読者を迷わせます。視点は“読者の感情の位置”そのものであり、その設計こそが合否を左右します。

 視点が混在すると、読者は感情を預ける先を失ってしまいます。主人公の内面を追っていたはずが、突然別人物の心情が挿入される。説明のつもりで書いた一文が、無自覚に神の視点へ滑る。こうしたズレは、「読みにくい原稿」という評価に直結します。

 多視点は高度な技法ですが、使いこなせていない原稿が圧倒的に多いのも事実です。視点変更には明確な理由と構造が必要。編集者は、視点設計が単なる演出ではなく、感情移入を成立させるための条件として機能しているかを厳しく見ています。

一番書きやすい視点で書くことがおすすめ

 結論からいいます。

 多くの応募作の中から選出されて賞を獲りにいくのなら、視点設計に物語創作の比重を置くべきではありません。

 まずは自分が一番書きやすい、しっくりくる視点で物語を綴ってみることをおすすめします。理由は単純明快。それがもっともあなたの描きたい世界観でテーマとメッセージを伝えられるからです。

 多くの方の場合、一人称になるでしょう。SNSをはじめ作文や感想文など、文章の多くを一人称で書いてきたため、容易に取り組めます。「彼」「彼女」あるいは登場人物の名を冠する三人称は、奥行き感のあるストーリー性を盛り込みやすいメリットがあるものの、キャラと心情描写の書き分けに高度な筆力が求められます。

 視点の乱れは作品を読みにくくする大減点の対象です。まずは書きやすいスタイルで賞に挑むべきです。

物語は誰の目を通して書くか考えよう

 【出典】『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ

【著者紹介】
秀島迅
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞(KADOKAWA)から選出され、『さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝などの執筆も行なっている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカの篇』二作同時発売(講談社)、語彙力図鑑シリーズなど著書多数。また、コピーライターや映像作家としての顔も持ち、企業CM制作を現在も月10本以上手がけている。

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【書誌情報】
『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』
著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ


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