媒体やジャンルで使い分ける!プロが教える短文と口語を活かした文章設計のコツ【賞を勝ち獲る小説の書き方】

\編集者の心をつかむ 人物・情景・心理の文章表現技法/

一気に読みやすくなるリズムやテンポを極める

文体は作家の自己表現ではなく、“読者とのコミュニケーション”の手段です。読者に向けたコミュニケーションを誤解した原稿は、選考でも厳しく見られます。

POINT

  • 文体は想定する読者に合わせる
  • 「どこの媒体で読まれるか」を意識
  • 登場人物にフォーカスした表現をする

【編集者】読者層に合わせて文体は変える

 リズムや文の長さなど、想定する読者層と文体が合っていなければ、どれほど優れた内容でも最後まで読んでもらえません。硬すぎる文体、装飾過多な比喩は、対象読者を見誤ると読みにくくなります。編集者は、「どこの媒体で読まれるか」を基準に判断します。

 ライト文芸なら短文と口語が中心になり、一般文芸なら比喩や余白が使われているか、Web媒体ではスクロール耐性を意識したテンポかなど、文体は“読者側の条件”から逆算されるものなのです

 文体は調整可能であるため、語彙や文の長短を設計し、読者に合わせた最適化が重要です。

【作家】難しい言葉を使わずリズム感で読みやすく

NGな例

あの人は頑なに首を縦に振らず、けんもほろろに要求を拒絶し続けるのはなぜだろう。馬耳東風とばかりの応対にもはや辟易しつつも、ここで二の足を踏んでしまえば元の木阿弥なのである。

① やや難解な慣用句や四字熟語の頻用で読者の心に響きにくい
② 文体に独特の時代感がにじみ出ていて媒体やジャンルを選ぶ
③ 自己満足的表現が目立ち、理解度促進への気配りに欠ける

ライト文芸やWeb媒体であれば明らかに読者層を捉えていません。一般文芸であっても歴史小説などジャンルと読者が極端に限定される文体。

OKな例

頑固な人だと思う。私の言い分に耳を貸そうともしない。声なくため息をつきながらも、くじけちゃダメだって自身に言い聞かせる。ここであきらめたら終わり。努力がすべて無駄になるんだ。

① 小刻みな長短構成に変えたことで文脈にリズム感が生まれる
② 主人公の感情の起伏が直接表現に置き換わって読み取りやすい
③ 比較的、幅広い媒体と読者層をカバーする汎用性の高い文体

書き手の個性ではなく、登場人物にフォーカスした表現に徹すれば、おのずと展開にメリハリが生まれて物語が流れます。

 【出典】『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ

【著者紹介】
秀島迅
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞(KADOKAWA)から選出され、『さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝などの執筆も行なっている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカの篇』二作同時発売(講談社)、語彙力図鑑シリーズなど著書多数。また、コピーライターや映像作家としての顔も持ち、企業CM制作を現在も月10本以上手がけている。

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【書誌情報】
『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』
著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ


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