感情は言葉で説明せずキャラの行動で伝える!人物の奥行きを表現する小説の書き方

\編集者の心をつかむ 人物・情景・心理の文章表現技法/

感情は言葉で説明せずキャラの行動で伝える

感情の説明として「感情そのもの」を直接的に書いていないか確認しましょう。変化の瞬間を捉えたとき、人物は説明なしで立体的に見えてきます。

POINT

  • 感情は言葉で説明しない
  • 感情が変化する起点が人物の奥行きを出す
  • 動作表現やセリフを使って感情を伝える

【編集者】感情の説明ではなく変化や兆しを描く

 編集者が人物描写で見ているのは、性格や感情の説明ではありません。その人物が「今、どう変わったのか」が描かれているかです。感情は内面にあり、読者からは見えません。見えるのは行動と反応だけです。

 よくある失敗は、「怒った」「悲しかった」と感情を言葉で説明してしまうことです。それでは読者は状況を理解しても、人物を感じ取ることができません。一方で、指の動き、視線の揺れ、会話の間といった小さな変化を描けば、感情は“実在感”を持ちはじめます。たとえば怒りなら、「拳を握る」「呼吸が乱れる」といった変化の起点を捉えた描写は、人物の奥行きを一気に深めるのです。

 人物描写は情報量の勝負ではありません。変化の一瞬を正確に切り取れるかが重要です。編集者は、感情を地の文で説明しているか、動作やセリフで変化を見せているかに注目しています。

【作家】感情用語は使わず動作でイメージをふくらませる

NGな例

不用意なひと言で、男は激しく怒った。憤怒の声を上げ、激情に駆られた怖い目を向けてくる。あまりの恐ろしさに兵士たちは身動きすらできない。

① 怒りの様相を繰り返しながらも具体的な感情像が想像できない
② 「どのように怒ったか」読者が知りたい瞬間の描写が皆無
③ 恐ろしさを印象づける特徴や特殊性のリアリティに欠ける

人物描写の礎となる感情は千差万別で、個性に直結した動きを伴うべきです。表情、手足、動作など、あえて局部の変化に注目しましょう。

OKな例

不用意なひと言で、突然、男はまなじりを決した。全身をわなわなと震わせて地響きのような唸り声を轟かせ、血走った双眸で睨みつける。あまりの恐ろしさに兵士たちは身動きすらできない。

① 「感情用語」は使わないことで様相が如実に伝わる
② 段階的な怒りのこみ上げ方が読者の想像力を掻き立てる
③ 「絵」をイメージさせる感情描写はキャラ像を印象づける

感情は一気にマックスへと到達しません。程度の差こそあれ、段階を経て表層に表れるもの。瞬間の連続描写が“実在感”を放ちます。


 【出典】『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ

【著者紹介】
秀島迅
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞(KADOKAWA)から選出され、『さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝などの執筆も行なっている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカの篇』二作同時発売(講談社)、語彙力図鑑シリーズなど著書多数。また、コピーライターや映像作家としての顔も持ち、企業CM制作を現在も月10本以上手がけている。

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【書誌情報】
『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』
著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ


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