なぜ「上手い人」と回ると急にゴルフが上手くなるのか? スコアが劇的に縮まる“沈黙の同伴者効果”

「ゴルフは誰と回るかで、スコアが10打近く変わる」 そんな噂を耳にしたことはありませんか?

実際、気心の知れた友人同士のワイワイしたラウンドよりも、目上のシングルゴルファーと同組になった緊張感のあるラウンドの方が、不思議と好スコアが出ることがあります。

おしゃべりをしてリラックスしている方が体も動いて良いスコアが出そうなものですが、なぜ「緊張感のある同伴者」と回る方が上手くいくのでしょうか?

ロングセラーゴルフ漫画『ゴルフは気持ち』(いけうち誠一著)の第16話「うぬぼれは禁物」では、ハンデ18の主人公カンちゃんが、2人の「シングルゴルファー」と同伴したことで、当時の自己2番目の好スコア「88」をマークしたエピソードが描かれています。

この「他人の空気を利用して上手くなる」心理的メカニズムを解説します。


2人のシングルに圧倒された「玉造CC」での1日

主人公のカンちゃんは、11月の玉造CCでのラウンドで、2人のシングル(ハンデ9以下の片手シングルクラス)と同組になります。

最初は「ふたりともすごいなァ、オレなんかと比べるものにならない!」と圧倒され、強烈な緊張感に襲われたカンちゃん。

しかし、ここで彼は素晴らしい「マインドチェンジ」を行います。

  • 「オレはへたなんだ。へたはへたなりに一生懸命やるしかない!」
  • 「緊張もしたし、ミスしてもしょうがない!」

と、良い意味で開き直り、慎重かつ丁寧に一打一打を重ねることに決めたのです。

さらに、カンちゃんはある重要な事実に気づきます。 

「シングルというのは、ゴルフを真面目にやるということを知った。むだ口を叩かず真剣だった」

いつもは冗談を言い合いながらプレーしていたカンちゃんですが、同伴者の真剣な姿勢に引き込まれるように、知らず知らずのうちに自分自身も黙々と、真剣にゴルフと向き合うようになります。

その結果、シングルには及ばないものの、実力以上の安定したプレーが連発し、「88」という見事なスコアでホールアウトしたのです。


上手い人と回るとスコアが良くなる「3つの心理的理由」

「ミラーニューロン」によるスイングの視覚的同調

人間の脳には、他人の動きを見ることで、自分も同じ動きをしているように感じる「ミラーニューロン」という働きがあります。

シングルの滑らかで軸のぶれないスイング、迷いのないルーティンを間近で見続けることで、自分の脳内でも良いイメージが再生され、無駄な力みが自然と取れるのです。

「沈黙」がもたらす深い集中状態(ゾーン)

シングルのゴルファーは、プレー中に無駄なおしゃべりをせず、自分のプレーとコースに集中しています。

余計な雑談が減り、静寂が保たれることで、脳のマルチタスクが解消されます。

その結果、風の音やライの傾斜といった「ゴルフに必要な情報」だけに脳のエネルギーを割くことができるようになります。

適度な緊張感がもたらす「丁寧なプレー」

上手い人の前で「恥ずかしいプレーを見せたくない」「進行を遅らせたくない」という適度なプレッシャーが、アドレスの向き、クラブ選択、ボールのマークといった細部を驚くほど丁寧にさせます。

この「丁寧さ」こそが、イージーミスを防ぐ最大の防御壁です。


自称・上手い人(うぬぼれゴルファー)と同伴すると崩れる理由

逆に、同伴するとスコアを破壊されてしまう人もいます。

それは「俺は昔、70台を出した」「今日は調子が悪いだけだ」などと自慢と言い訳を繰り返し、他人のプレー中にも大声でおしゃべりをする「うぬぼれゴルファー」です。

こうした同伴者と回ると、

  • スイングのリズムが狂わされる
  • 同伴者のイライラ(負のエネルギー)が伝染する
  • 「負けたくない」という対抗心が芽生え、実力以上のスイングをして自滅する

といったスパイラルに陥ります。

ゴルフは、良くも悪くも「同伴者のマインドに非常に強く同期してしまう」スポーツなのです。


■ まとめ:次のラウンドからできる“他力本願”スコアアップ術

もし、身近にシングルや上級者がいるなら、恥ずかしがらずに積極的に「一緒に回らせてください」とお願いしてみましょう。

その際は以下の3点を意識してください。

  1. 「自分は下手だから」と開き整え、無駄な良いところ見せようアピールをしない
  2. 上級者のスイングだけでなく、「黙々と真剣にプレーする姿勢」を真似る
  3. 自分のアドレスやクラブ選択を、いつもより3秒だけ時間をかけて丁寧に行う

上級者の放つ「真剣な空気感」を味方につければ、あなたの技術はそのままでも、驚くほど洗練されたゴルフへと進化するはずです。

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【書誌情報】
『ゴルフは気持ち(1)』
著:いけうち 誠一

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