2019年の火災を経て無事復活!ノートル・ダム大聖堂の修復作業と世界遺産としての価値【眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産】

「本物」って何? を考える世界遺産

パリのセーヌ河岸

世界中が見守った大聖堂の修復

 世界遺産の価値を測る上で重視されるのが「真正性」です。建材や工法など、当時の要素が受け継がれていることに加え、根拠のない推測による修復を避けることが求められます。

 フランスの世界遺産「パリのセーヌ河岸」に含まれるノートル・ダム大聖堂は、2019年の火災により尖塔と屋根の一部を焼失しました。その修復はユネスコも作業の進捗や保存状態を確認するなど、国際的な注目を集めました。

 修復は大聖堂の所有者である国の主導で進められ、修復作業中だった尖塔を含め、できる限り火災前の姿に戻す方針が採られました。結果、世界遺産としての価値を守りながら2024年に修復を終え、無事に公開を再開できました。

「パリのセーヌ河岸」は、都市計画と都市全体の歴史的価値が評価された世界遺産。ノートル・ダム大聖堂はその構成資産のひとつ。


カルカッソンヌの歴史的城塞都市

中世にタイムスリップする街

 フランス南部のカルカッソンヌは、12~13世紀に築かれた二重の城壁が旧市街を囲む中世の城塞都市です。現在の姿は、実は19世紀の大規模修復の成果でもあります。

 ローマ時代に交通の要衝として砦が築かれましたが、17世紀のピレネー条約により国境が定まると、軍事的役割を失い衰退。その後、19世紀に歴史的価値が見直され、当時ノートル・ダム大聖堂の修復も手掛けたヴィオレ・ル・デュクが大規模修復を推進します。

 彼の修復は史実の保存よりも理想の中世像の再現を優先したため、議論を呼びました。しかし、最終的には修復自体が保存思想に与えた影響も含めて評価され、世界遺産に登録されました。

総延長3kmの二重城壁が特徴的な中世城塞都市。52の塔のほか、大聖堂や城などが残されている。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産』監修:宮澤 光

【監修者紹介】
宮澤 光(みやざわ・ひかる)
NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員。北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。跡見学園女子大学非常勤講師。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産』
監修:宮澤 光


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