良かれと思った励ましが子どもを追い詰める?「もっと頑張らせよう」とするほど子どもの反応が鈍くなるワケ【子ども脳疲労】

\脳が回復すると、子どもは自然に伸びはじめる/

子どもの脳は「頑張らせる」よりも「休ませる」ことで本来の力を発揮する

頑張れる土台づくりから

 子どもの様子を見ていると、「もう少し頑張ってほしい」と感じることは少なくありません。集中が続かなかったり、やる気が感じられなかったり、同じ注意を何度も繰り返したりする場面が続くと、どうしても本人の努力や意識の問題のように思えます。日々の生活のなかで、つい大人の基準で判断してしまうのは親なら誰しも経験することです。

 しかし、脳は「からだの脳」「おりこうさんの脳」「こころの脳」の3層で成り立っています。とくに土台の「からだの脳」が疲れていると、上層の「おりこうさんの脳」(集中・理解・工夫)がうまく働かず、「頑張れ!」と負荷をかけても、空回りしやすいのです。

 さらに、疲れた脳に追い打ちをかけるような声かけや注意が重なると、子どもは次第に身構え、自由に動けなくなります。「もっと頑張らせよう」とするほど反応が鈍くなり、うまくいかない場面が増え、悪循環が生まれやすくなる……。これは、意外と多くの家庭で起きていることです。

「休ませる」だけで、大きく変わる

 ここで必要なのは、「どうやって頑張らせるか」ではなく、「どうすれば休める状態をつくれるか」という視点に立つことです。脳は、休める環境が整うことで、自然と本来の働きを取り戻していきます。無理に外から引き出そうとしなくても、回復して力が戻りさえすれば、自ら動きはじめる素質はもともと備わっています。

 実際、しっかり休息を取ることができた子どもには、わかりやすい変化があらわれます。表情が豊かになったり、声をかけたときの反応が早くなったり、話しているときに目線が合いやすくなったりするのです。こうした変化は、やる気が入った結果というより、脳がしっかり回復でき、本来の状態に近づいてきたサインと受け取ることができます。

 ここでいう「休ませる」とは、何もしなくていいという意味ではありません。子どもが安心して肩の荷を下ろせるような環境を整えることを指しています。評価や急かしから少し距離を取り、力を抜ける時間が確保されることで、脳は回復に向かいやすくなります。休める状態が整えば、無理に促さなくても、自然な動きや反応は少しずつ戻ってくるのです。

頑張らせるよりも休ませる

脳が疲れているときに負荷をかけても、本来の力は発揮しにくくなります。安心して休める環境が整うことで、脳は自然と力を取り戻します。

【出典】『子ども脳疲労』著:成田奈緒子

【著者紹介】
成田奈緒子(なりた・なおこ)
小児科医・医学博士・脳科学者。発達脳科学を専門とし、子どもの睡眠や生活リズムと脳の発達の関係を長年研究。医療現場で多くの親子と向き合うなかで、子どもの不調の背景には睡眠不足や過干渉など家庭環境の影響が大きいことに着目する。脳の発達段階に即した子育てのあり方を提唱し、講演・執筆活動を通じて広く発信。親子支援事業・子育て科学アクシスを主宰し、保護者向け講座や教育支援にも力を注いでいる。著書に『誤解だらけの子育て』(扶桑社)、『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP 研究所)、共著に『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB クリエイティブ)などがある。

【書誌情報】
『子ども脳疲労』
著:成田奈緒子


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