なぜマグロのヅケに「蕎麦屋のカエシ」?寿司職人が絶賛した“秘伝ヅケタレ”の秘密と江戸前の知恵|漫画「江戸前の旬」

単なる醤油漬けではない?「マグロのヅケ」の真実

寿司ネタの定番である「マグロのヅケ(漬け)」。単に刺身を醤油に浸したものだと思っていませんか?

本来のヅケとは、煮切った醤油や酒、みりんなどを合わせた特製タレに漬け込み、マグロ本来の旨味や酸味を引き出す繊細な江戸前技術です。

人気寿司マンガ『江戸前の旬』でも、このヅケをめぐる深い料理の知恵が描かれています。

刺身とヅケは何が違う?「生の旨さ」VS「工夫の旨さ」

現代では冷蔵技術や物流が進化し、新鮮な生のマグロがどこでも食べられるようになりました。そのため、「わざわざタレに漬けて手を加える必要はないのでは?」と思う人も少なくありません。

しかし、ヅケの本質は「保存」ではなく「旨味の凝縮」にあります。生のマグロのもつ脂や酸味に対し、醤油のコクと風味が加わることで、生のままでは味わえない立体的な美味しさが生まれるのです。

寿司職人が行き着いた隠し味「蕎麦屋の本返し」とは

作中で新米職人・旬が美味しいヅケタレを作るために行き着いたヒントが、なんと「蕎麦屋のタレ(カエシ)」でした。

蕎麦屋で使われる「本返し」は、醤油に砂糖やみりんを加え、カメなどでじっくり寝かせて作られます。角が取れてまろやかになった醤油と、カツオ節の出汁の風味が合わさることで、マグロの赤身がもつ酸味や旨味と劇的に調和します。

自宅でヅケを作るときのポイント

  1. 醤油をそのまま使わない: 市販の醤油をそのまま使うと塩分が勝ちすぎてしまいます。みりんや酒を煮切って角を丸くするのがコツです。
  2. まろやかさをプラスする: 蕎麦つゆや、少量のみりん・出汁を隠し味に加えることで、本格的な江戸前の味に近づきます。

新鮮な生のマグロも美味しいですが、職人の知恵が詰まった「ヅケ」の深みを知ると、寿司の楽しみ方がさらに広がります。

◉『江戸前の旬』次回へ続く

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【書誌情報】
『江戸前の旬』
原作/九十九森
作画/さとう輝

銀座『柳寿司』三代目・柳葉旬。柳寿司の末っ子として生まれ、父親の跡を継ぐために寿司職人となって迎えた二度目の春――。寿司職人として大輪の花を咲かすべく、ただ今奮闘中!! 真鯛をけなす息子、真鯛に特別な思いを持つ老母。旬の真鯛の握りは息子の誤解を解くことができるのか⁉

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