パットの瞬間に「外したらどうしよう…」と怯えてない?シングルが実践する「入れることしか考えない」パット術と上達に必要な「失敗の価値」

「グリーンの上でどうしても距離感が合わない……」
「返しがプレッシャーになって、結局3パット、4パットしてしまう……」

パッティングはゴルフのスコアの約4割を占める重要な要素ですが、多くのゴルファーにとって最大のストレス源でもあります。

練習グリーンでは入るのに、本番のプレッシャーがかかると急に打てなくなる……

そんな経験はありませんか?

実は、パッティングこそゴルファーの「メンタル(気持ち)」が最も直接的にボールの転がりに影響するシチュエーションです。

ゴルフマンガ『ゴルフは気持ち』第17話「シングル」に学ぶ、シングルプレーヤー(ハンディキャップ一桁の上級者)の「パッティングの極意」と、そこに至るために欠かせない「失敗の価値」について解説します。


普通のゴルファーは「外す前提の恐怖」でパットしている?

パッティングにおいて、普通のゴルファーとシングルプレーヤーは、驚くほど真逆のメンタリティで打っています。

平均的なゴルファー(例えば100切りを目指すプレーヤー)の多くは、パットを打つ瞬間に「外したらどうしよう」「外した後のリスク」ばかりを頭に浮かべています。

下りパットでの恐怖

下り5メートルのパット。

普通のゴルファーは、「上からはすごく速い……入らなければカップを過ぎて2メートルは行ってしまう!そうなれば3パットだ……」と恐怖を膨らませます。

その結果、インパクトで体が縮こまり、カップに全く届かない大ショートを打ってしまいます。

上りパットでの焦り

上りパット。

今度は「下からは重い……しっかり打たなければ入らない!ショートしてしまう!」と焦ります。

「強気に打たなきゃ」と考えすぎて過剰に力強くヒットしてしまい、カップを1メートル以上も大オーバーさせて返しのパットを外す事態になります。

このように、普通のゴルファーは「外すことを前提にして(はずすのを頭において)打っている」のです。


シングルのパット:頭の中には「入れること」しか存在しない

対して、シングルプレーヤーのパッティングにおける頭の中は、非常にシンプルで極めて強気です。

上りのパットであっても、シングルプレーヤーはこう考えてパターを振ります。

「この強さで、こう打てば入る!」

彼らの頭の中には、「入れること」しかありません。外すことなど、1ミリも頭をよぎらないのです

「もし外したら、返しのパットが難しくなるのでは?」とアマチュアの神田さんが尋ねた際、シングルプレーヤーの稲垣さんは笑顔でこう答えました。

「はずしたら、はずしたとき、考えればいいんです」

打つ前に「外したときのリスク」を心配してスイングを狂わせるくらいなら、入れることだけに100%集中する。

そして、万が一外れてしまったときは、その時点で改めて次のパット(返し)の戦略を組み立てればいい、という割り切りです。

この「今ここの1打に完全に集中する(今起きてもいない未来のミスに怯えない)」ポジティブなマインドこそが、驚異的なパット成功率を支えています。


なぜ初心者がシングルの真似をしても上手くいかないのか?ゴルフの深淵「経験の差」

ここまでの解説を読んで、「よし、ドライバーは力を抜いて、アイアンは安全な場所を狙い、パターは入れることだけを信じて打とう!」と心に誓った方もいるかもしれません。

しかし、本作の結末では、アマチュアに向けた非常に厳しい、しかし極めて温かい「ゴルフの現実」が語られています。

実は、ゴルフ初心者がシングルのこうした「洗練されたマインド」をただマネしようとしてもうまくいきません。なぜなら、人間は「さんざん痛い目を見なければ、その重要性を本当に理解できない生き物」だからです

  • 「ドライバーを飛ばさないように打つ」と言われても、力を抜くのは非常に難しく、最初はまともに当たりません。「どうせ当たらないなら、思いっきり叩いた方がまぐれで飛ぶかもしれないから面白い!」となってしまうのが人間です。
  • 「アイアンでグリーンを外したときのことを考えて打つ」と言われても、そもそも思った通りに打てない初心者にとっては、「それなら最初からピンそばを狙った方が、まぐれで乗るかもしれないから楽しい!」となってしまうのが当然です。

力を抜いて打つこと、ピンを狙わずに安全な場所に外すこと……。これらは、ゴルフというゲームの面白さ(飛ばす快感、ピンを刺す喜び)とは一見すると逆行しているため、理屈ではわかっていても心から納得して実行するのは不可能です。

「経験の差」が育む、本物のメンタル

シングルプレーヤーの稲垣さんは、こう締めくくります。

「だいいち力を抜いて打つなんておもしろくない。さんざん失敗して痛い目にあわなければわからない。これを『経験の差』というんだね」

  • 力んでドライバーを振ってOBを連発し、スコアをボロボロにして泣いた経験。
  • ピンばかり狙って崖下に落とし、二度と這い上がれない絶望を味わった経験。
  • 何度もグリーンを外し、「そう簡単に乗らないものだ」と身を以て知った現実。

これらの「さんざんな失敗経験」が積み重なり、脳と身体が「もうこんな痛い目は嫌だ!だから力を抜こう、だから安全な場所を狙おう」と本能レベルで理解して初めて、シングルの優れたマインドセットが本物として身につくのです。


まとめ:たくさんミスをしよう!それこそがシングルへの唯一の近道

本作はアマチュアにこんな心強いアドバイスを送っています。

「だからドライバーは曲げなさいね。曲げて曲げて、ピンばかり狙いなさい。力を抜いて打つことをはじめは放っておきなさい」

ゴルフの上達において、最初からスマートに、ミスを避けてシングルになろうとする必要はありません。むしろ、たくさんボールを曲げて、たくさんグリーンを外して、「痛い目」をいっぱい経験してください。

それらのミスはすべて、あなたが将来「本物のコースマネジメント」と「強気なパットメンタル」を手に入れるために不可欠なステップ(経験値)です。

次のラウンドでは、「ミスを恐れるゴルフ」ではなく、「たくさん挑戦して失敗を経験するゴルフ」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

その失敗こそが、あなたを本物のシングルへと導く最も価値ある財産になるはずです。

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