フビライ・ハンが中国に開いた強大な元とはどういう国だったのか?【世界史】

ムスリム商人を重用して商業・貿易を奨める
十三世紀半ば、第四代ハンとなったチンギスの孫モンケの時代、モンゴル帝国は膨張に膨張を重ねる。すでに東ヨーロッパに到達し、ポーランドでキリスト教徒の軍勢を撃破し、ヨーロッパを恐怖のどん底に突き落とした。その帰途、南ロシアにキプチャク・ハン国を樹立した。
モンケは次弟フビライに中国の南宗王朝征服を命じ、三番目の弟フラグにはイラン以西のイスラム世界の制圧を命じた後、亡くなってしまう。止むなく次弟フビライがハン位を継承すると弟たちが叛意を明らかにして争いを繰り返したが、反乱を制圧するとフビライは思い切った挙に出る。大きくなり過ぎたモンゴル帝国を分割。南ロシアのキプチャク・ハン国、イランのイル・ハン国、西北モンゴルのオゴタイ・ハン国、中央アジアのチャガタイ・ハン国に分割し、それぞれ自立する道を歩むことにする。そして、フビライ・ハン自身は、一二七一年、大都(北京)を首都とする元王朝の世祖となったのである。
フビライ・ハンは、キプチャク、チャガタイ、イルの三ハン国がイスラム社会に埋没してしまった轍てつを踏まず、中華文明に同化せず、ムスリム商人を重視して商業重視、貿易振興を基本路線として貫き通したのであった。
しかし、いずれの国においても、分裂下にあったとしても、遊牧民族の国、モンゴル帝国の末まつ裔え いとして東西交易と人的交流を絶やすことなく、活発化する様、働き続けたのであった。これは遊牧民族の本能であったのかもしれない。途方もない世界帝国を築き上げたモンゴル民族でも、最後は落ち着ける土地を発見している。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊
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