昭和の日本を騒がせた謎の類人猿『ヒバゴン』…55年ぶりに再び現れた!?【眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話】

謎の類人猿「ヒバゴン」とは?

二足歩行する謎の未確認生物

 昭和45年(1970)7月20日、西城町(現・庄原市西城町)の比婆山麓で、帰宅途中の男性が謎の未確認生物を目撃。その生物は全身が毛だらけで二足歩行をしていましたが、猿や熊でもなく、見たことのない姿をしていたといいます。これが最初の「ヒバゴン」目撃情報でした。

 その後も、西城町やその周辺でヒバゴンの目撃情報が相次いだため、翌年に西条町役場は、情報収集と報道関係の窓口の一本化を図るため「類人猿相談係」という部署を設置。神戸大学など大学の探検部も「類人猿調査隊」として現地調査に訪れました。

 目撃者の情報によると、ヒバゴンの身長は約1.6m、ゴリラに似た体つきで顔は逆三角形、全身が黒い毛に覆われていたといいます。昭和45年12月には、比和町の吾妻山中腹の雪中に縦21cm×横13cmの足跡が発見され、警察も調査を行いました。しかし、昭和49年(1974)頃を境に、ヒバゴンの目撃情報は途絶えました。

 その後、ヒバゴンは庄原市の観光PRキャラクターや土産物のデザインなどに採用され、地域活性化の一翼を担っています。

 なお、ヒバゴンの正体については、ニホンザル説、ツキノワグマ説、未知の類人猿説、人為的ないたずら説、集団パニック説など多くの説が唱えられましたが、現在も解明されていません。

再び目撃情報が相次いだ「ヒバゴン」

ヒバゴンのその後

 昭和49年(1974)を最後にヒバゴンの目撃情報は途絶え、「類人猿相談係」は廃止されました。しかし、その後ヒバゴンはキャラクター化され、西城町の観光・地域振興に貢献。重松清氏がヒバゴン騒動をモチーフにした小説『いとしのヒナゴン』を発表し、この小説を原作とした映画が全国公開されるなど多くの話題を提供しました。ところが令和6年(2024)以降、再び複数のヒバゴン目撃情報が寄せられてニュースとなり、翌年には西城町観光協会が55年ぶりに「類人猿相談係」を復活させました。

【庄原市マスコットキャラクター「ヒバゴン」】

このキャラクターは着ぐるみ化され、庄原市主催の行事・イベントなどに出演するほか、市内の団体などへの無料貸出も行われている。

【ヒバゴンの足型】

昭和45年(1970)12月に、比和町で発見されたヒバゴンの足跡は、警察によって石膏で型取りされ、長く庄原警察署にて保管されていましたが、令和5年(2023)に地域振興のため町へ寄贈され、現在はJR 備後西城駅の駅舎で一般公開されています。

【ヒバゴン出没地点の看板】

かつて謎の類人猿として恐れられたヒバゴンは、現在は住民から愛される地域キャラクターとなっている。

【比婆山御陵】

『古事記』に「出雲国と伯伎国の境の比婆之山に葬りき」と記された、イザナギノミコトの御陵で、この周辺のブナ林は国の天然記念物に指定されている。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』監修:佐々木卓也

【監修者情報】
佐々木卓也(ささき・たくや)

野外歴史地理学研究家。第35回広島文化賞受賞(平成26年度)。昭和29(1954) 年8月1日、広島市佐伯区生まれ。間学苑:時空人論研究所主宰、ひろしま歴史街道トリップ実行委員会座長、広島地名研究会事務局代表、石垣を讃える会代表世話人、棚田学会会員(元監事)、広島市内公民館活動団体指導員、中国新聞文化センター専属講師。広島県立広島観音高等学校卒業、奈良大学文学部地理学科卒業、広島大学大学院文学研究科研究生終了、京都大学教養部人文地理学教室研修員修了。国立呉工業高等専門学校・国立広島商船高等専門学校・国立大島商船高等専門学校・広島修道大学短期大学部講師を歴任。広島県史編纂室第三部会委員・広島市教育委員会調査委員・奈良広島両県町村史編纂委員を歴任。主著『芸備両国の条里遺構』(溪水社)、共著『広島県地名大辞典』(角川書店)、『日本地名基礎辞典』(日本文芸社)、『日本石造文化事典』(朝倉書店)ほか。専門は歴史地理学・地域民俗学・文化人類学・日本地名学ほか。趣味は歴史街道散策・石垣景観探訪・旅行企画策定など。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』
監修:佐々木卓也


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