商品の価値を分ける2つの見方。「使用価値」と「交換価値」の違いと資本主義の仕組み【眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話】

商品の価値は「役に立つかどうか」で決まっていない

使う価値と売れる価値の違い

 水とダイヤでは、どちらのほうが私たちの生活に必要でしょうか。答えは、もちろん水です。水がなければ、人は生きていけません。飲む、料理に使う、体を洗うなど、生活のあらゆる場面で必要になります。ところが、ふだん水は比較的安く手に入ります。一方で、ダイヤは生きるために絶対に必要なものではありません。それでも、市場では高い値段で取引されることがあります。

 このズレを見ると、商品の価値は「役に立つかどうか」だけでは説明できないことがわかります。ここで大切になるのが、「使用価値」と「交換価値」という見方です。使用価値とは、使うことで役に立つ価値のことです。水なら、のどの渇きをいやし、料理や洗濯にも使えるという価値があります。

 もうひとつの交換価値は、ほかの商品やお金と交換できる価値のことです。ダイヤは生活に欠かせないモノではありませんが、市場では多くのお金と交換できるため、交換価値が高い商品として扱われます。この2つは、同じ「価値」という言葉で表されますが、見ている面はまったく同じではないのです。

 資本主義社会では、市場に出た商品は、「いくらで売れるのか」「何と交換できるのか」という基準からも評価されます。商品の価値を考えるときには使う価値と売れる価値を分けて見ることが大切なのです。

役立つほど高いとは限らない

私たちの生活に欠かせないものでも、高く売れるとは限らない。商品の価値は、「生活の中でどれだけ役立つか」と、「市場でどれくらいの値段で売れるか」の2つの側面から考える。

人が暮らすうえで確実に必要なのは水だが、ダイヤのほうが高値で取引され、価値があるとされることが多い。

価値には2つの顔がある

商品の価値は、「使う面」と「交換できる面」に分けて考える。使うことができなくても、高いお金と交換できる価値を持つこともある。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』監修:白井 聡

【監修者紹介】
白井 聡 (しらい・さとし)

政治学者、思想史家。1977年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。京都精華大学人文学部教員。レーニンの政治思想研究を出発点とし、現代日本社会や資本主義を鋭く読み解く論考で注目を集める。『永続敗戦論―戦後日本の核心―』(太田出版)で第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞を受賞。主な著書に『国体論菊と星条旗』(集英社新書)、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)、『今を生きる思想マルクス生を呑み込む資本主義』(講談社現代新書)などがある。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』
監修:白井 聡


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