なぜ人はお金をため込みたくなるのか?価値を劣化させず手元に残せる「お金」の本質的役割とは【眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話】

人がお金を欲しがる理由は、価値をずっと保存できるから

ため込むことができるお金

 食べ物は、食べればなくなり、食べなくともそのうち腐ってしまいます。服は着ているうちに傷み、映画のチケットは使えば役目を終えます。商品には、人の欲求を満たす力がありますが、多くの場合、使えばなくなったり、少しずつ形を変えたりしていくのです。

 一方で、お金はすぐに使わなくても残しておくことができます。たとえば、読まなくなった本を売ってお金を受け取ったとします。そのお金は、その場ですぐ別の商品に替えなくてもかまいません。財布に入れておくことも、口座に残しておくこともできます。そしてあとになって、食事など別の商品やサービスと交換できるのです。ここに、価値の共通言語であるお金の、もうひとつの特徴があります。

 お金は、商品の価値を一時的に保存し、未来へ持ち越すことができるのです

 そのため、はじめは「商品を買うための道具」だったはずのお金は、しだいに「手元に置いておきたいもの」「できるだけ多く持っていたいもの」になっていきました。お金をすぐに使わず、価値を保存するものとしてため込むことを「貨幣退蔵」といいます。

 お金は、いま必要なモノだけでなく、まだ決まっていない欲望にも対応できます。資本主義社会でお金が強い力を持つのは、それが価値を未来へ残せる特別な商品だからなのです。

価値を保存しておけるお金

食べ物や道具は使えばなくなり、時間がたつと古くなる。だが、お金は価値をそのままの形で持ちこしやすい。ほかのモノで持つよりも、価値を保ちやすい。

食べものや道具

  • 使うとなくなる
  • 古くなる
  • 傷む
  • 価値が下がることがある

道具や商品は時間の経過や劣化で傷むことがあり、価値が下がることもある。そのため、役立つけれども、同じ形で長く保存するのは難しい。

お金

  • 価値をためておける
  • いつでも交換しやすい
  • 小さく持てる
  • あとで使える

お金は、価値を小さな形で保存できる。また、あとで多くのさまざまな商品やサービスと交換できる。持ち運びや保管もしやすく、場所をとらず、長く手元に置いておける。

価値を保存できるから、ため込みたくなる

お金は価値を保存できるため、買うための通り道で終わらず、それ自体が集める対象にもなる。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』監修:白井 聡

【監修者紹介】
白井 聡 (しらい・さとし)

政治学者、思想史家。1977年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。京都精華大学人文学部教員。レーニンの政治思想研究を出発点とし、現代日本社会や資本主義を鋭く読み解く論考で注目を集める。『永続敗戦論―戦後日本の核心―』(太田出版)で第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞を受賞。主な著書に『国体論菊と星条旗』(集英社新書)、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)、『今を生きる思想マルクス生を呑み込む資本主義』(講談社現代新書)などがある。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』
監修:白井 聡


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「AIで便利になったはずなのに、どうして働き方はラクにならない?」
「なぜ一部の人だけが、どんどんお金持ちになっていく?」
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そんな“現代社会の違和感”を、150年以上前に見抜いていた本――それがマルクスの『資本論』です。

本書は、難解な古典として知られる『資本論』を、「現代社会を読み解く」視点で、図解でわかりやすく解説した一冊です。
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剰余価値、労働力商品、資本の増殖といった『資本論』の重要キーワードも、図解だからスッキリ理解!

さらに本書では、“働き方”だけでなく、“欲望”や“価値観”までもが資本主義に組み込まれている現代社会の姿にも迫ります。
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私たちの心や感情までが「資本」に回収されていく構造が、『資本論』を通して見えてきます。

『資本論』は、単なる「お金の本」ではありません。
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この本を読めば、あらゆる議論の見え方も、働くことへの感覚も、そして自分の感情の見え方もきっと変わります。

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