「後ろの組に見せつけてやろう」と思った瞬間がゴルフの破滅の始まり…アマチュアを奈落の底に突き落とす“魔の承認欲求”の正体

なぜギャラリーを意識するとスイングは崩れるのか?

ゴルフ場で前の組が詰まっている時、後ろの組に見守られながらティーショットを打つシチュエーション。

誰もが一度は「カッコいいショットを見せたい」「飛ばして驚かせたい」と思ったことがあるはずです。

しかし、その「見栄(承認欲求)」を抱いた瞬間、ゴルフの神様は容赦なく牙を剥きます。

調子が抜群に良かったはずなのに、たった1つのホールで「12打」という大叩きを喫した『ゴルフは気持ち』(いけうち誠一著)の第16話「うぬぼれは禁物」のカンちゃんの悲劇から、アマチュアゴルファーの天敵である「見栄」がもたらす恐ろしい心理メカニズムを分析します。

1. 「驚かせてやろう」という邪念がOBを呼ぶ

ある年の4月、宇田CCでラウンドしていたカンちゃんは絶好調でした。

「今日の調子なら、ハーフ42〜43は固い!」と確信するほど、ショットが冴え渡っていました。

そんな中、迎えた7番ホールの谷越え。

いつもなら緊張する場面ですが、その日の調子の良さから「どうってことない」と余裕を感じていました。

そして、ティーグラウンドの背景に後ろの組(ギャラリー)の姿を捉えた瞬間、カンちゃんの心に邪念が芽生えます。

「ここはひとつ思いきって飛ばしてやろう! うしろのやつらが驚くようなショットを!!」

放たれたボールは無情にも谷底へと消え、OB 。

「後ろの人に良く見せたい」という承認欲求は、脳に過剰なドーパミンを分泌させ、スイングに必要な「脱力」を完全に奪い去ります。

無意識に身体が力み、スイングプレーンが歪んでしまうのです。

2. 「有頂天」の動揺がミスをガタ崩れに拡大させる

このエピソードの恐ろしいところは、1発目のOBだけでは終わりません。

ミスショットをした直後、同伴者から「もったいないね、調子よかったのに」と言われたカンちゃんは、プライドを傷つけられ激しく動揺します。

「ほんのちょっとしたミスだ! 次は目のさめるような当たりを!」と、傷ついた自尊心を回復しようとさらに力が入ってしまい、結果的に2発目のOB。

そのままずるずるとミスを重ね、そのホールだけで「12打」を叩いてしまったのです。

好調さから来る「有頂天」は、冷静な状況判断を狂わせます。

「自分の凄さを見せつけたい」というエゴ(うぬぼれ)が心のどこかに潜んでいると、1つのミスを許容できず、強引なリカバリーショットを選択して傷口を広げる連鎖に陥ります。

まとめ:ギャラリーはあなたのことを見ていない

アマチュアゴルファーが肝に銘じるべきは、「後ろの組の人たちは、あなたのショットにそれほど関心はない」という現実です。

彼らも自分のゴルフで頭がいっぱいです。

他人の目を意識して「良いところを見せよう」とするのはうぬぼれであり、自滅への特急券です。

自分のゴルフを淡々と行うシングルゴルファーのように、無駄口を叩かず、目の前のボールをターゲットへ運ぶことだけに集中する。

見栄を捨てて、等身大のゴルフに徹することこそが、12打のような大惨事を防ぐ唯一の防御策です。

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【書誌情報】
『ゴルフは気持ち(1)』
著:いけうち 誠一

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