「辞める自由」はあるのに、辞められない!? 『資本論』でわかる労働者の自由と不自由【眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話】

社会の不条理とギモンは『資本論』で説明できる

私たちの働く時間は、私たちの生きる糧になるだけではなく商品や利益を生み出す力になります。賃金だけでは見えにくい労働の意味を、『資本論』の視点から考えていきます。


会社が買っているのは、人間ではなく「労働力」

商品が「労働力」しかない労働者

 「何時間働けるか」「どんなスキルがあるか」「どれだけ成果を出せるか」。会社では、個人の人柄や生活よりも、「何が」「どれだけ」できるのかが注目されがちです。求人票や評価面談の言葉にも、その見方は表れています。

 企業、つまり資本が賃金を払っているのは、人間そのものに対してではありません。一定時間働くことができる力、つまり「労働力」に対してです。そして、労働力を欲しているという性質上、求める価値を生み出すことだけが重要であって、労働者の人格や人生について本質的に無関心です

 もちろん、労働者は奴隷のように誰かの所有物ではありません。会社に辟易すれば辞めることもできます。けれども、土地や工場や資本を持たない人にとって、生活のために売れるモノは、基本的に自分の労働力しかありません。誰かに所有されていない自由があるとしても、家賃や食費を前にすれば、実際にはどこかで働かざるをえない。ここに、生産手段を持たない(自由な身である)という自由があります。労働者が労働を止めて暮らすことは非常に難しいのです。

 これが、『資本論』でいう「二重の自由」です。労働者は、自分の労働力を売る自由を持っています。同時に、労働力を売らなければ生きていけない不自由も抱えているのです。

資本主義社会では人は労働力としか見られない

会社で評価されるのは、その人の生活や人格そのものではなく、一定時間でどれだけ働けるか、どんな成果を出せるかという「労働力」である。

人間としての自分

お金だけでなく、助け合いや信頼の関係の中で行われる。関係は続いていく。

会社が見る「労働力」

資本の側からは、人間全体ではなく、価値を生み出せる力として見られやすい。

労働者は「自由」と「不自由」を持つ

労働者は、自分の労働力をどこに売るかを選べる。けれども、資本や土地を持たない人は、生活のためにどこかで働かざるをえない。

自由に見える面

誰かの所有物ではなく、自分で働き先を選ぶ自由がある。

不自由な面

生活するにはお金が必要なので、結局は労働力を売らなければならない。


【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』監修:白井 聡

【監修者紹介】
白井 聡 (しらい・さとし)

政治学者、思想史家。1977年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。京都精華大学人文学部教員。レーニンの政治思想研究を出発点とし、現代日本社会や資本主義を鋭く読み解く論考で注目を集める。『永続敗戦論―戦後日本の核心―』(太田出版)で第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞を受賞。主な著書に『国体論菊と星条旗』(集英社新書)、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)、『今を生きる思想マルクス生を呑み込む資本主義』(講談社現代新書)などがある。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』
監修:白井 聡


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「なぜ一部の人だけが、どんどんお金持ちになっていく?」
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本書は、難解な古典として知られる『資本論』を、「現代社会を読み解く」視点で、図解でわかりやすく解説した一冊です。
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『資本論』は、単なる「お金の本」ではありません。
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