「頑張って働けば給料が増える」は間違い!? 『資本論』が説く「剰余価値」の正体【眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話】

「労働」では絶対に〝元〟は取れない

賃金以上の価値を求められる労働

 「頑張って働いて会社に貢献しているのに、それに見合った給料がもらえない」。働く人なら、一度はそんなモヤモヤを感じたことがあるかもしれません。

 『資本論』では、この不公平感・違和感を「剰余価値」という考え方で説明します。資本家が労働者を雇うのは、働いた分をそのまま返すためではなく、支払った賃金以上の価値を生み出してもらうためである、という考え方です。ここに、資本主義の労使関係の核心があります。

 労働者、つまり会社に雇われた人びとが売っているのは、完成した商品そのものではありません。一定時間働くことができる力、つまり労働力です。労働力は、使われると自分に支払われた価値を超える価値を生み出さなければなりません。その上乗せ分が、剰余価値です。資本家、そして資本はいかに剰余価値を生み出せるか、ということを目的にしています。

 資本にとって大事なのは「人を雇うこと」そのものではなく、労働力からどれだけ多くの価値を引き出せるかです。どれほどまじめに働いても、働きのすべてが給料として戻るわけではありません。むしろ、その戻らない分があるからこそ、資本は増えていきます。「労働では元が取れない」という感覚は、努力不足ではなく、資本が労働力から剰余価値を得るしくみの中で生まれます。

資本家は、賃金以上の価値を求める

資本家が労働者を雇うのは、支払った賃金以上の価値を生み出してもらい、その「増えた価値(剰余価値)」を得るため。

剰余価値は、1日の労働時間の中で生まれる

労働時間は、賃金分を生み出す時間(必要労働時間)と、それを超えて資本の利益になる時間(剰余労働時間)に分けられる。

必要労働時間

賃金分の価値を生み出す時間
労働者が自分の賃金にあたる価値を生み出すのに必要な時間。

[労働者の賃金]

余剰労働時間

賃金を超える価値を生み出す時間
ここで生み出された価値は、賃金として
は戻らず、資本家の利益になる。

[剰余価値になる(資本家の利益)]


【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』監修:白井 聡

【監修者紹介】
白井 聡 (しらい・さとし)

政治学者、思想史家。1977年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。京都精華大学人文学部教員。レーニンの政治思想研究を出発点とし、現代日本社会や資本主義を鋭く読み解く論考で注目を集める。『永続敗戦論―戦後日本の核心―』(太田出版)で第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞を受賞。主な著書に『国体論菊と星条旗』(集英社新書)、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)、『今を生きる思想マルクス生を呑み込む資本主義』(講談社現代新書)などがある。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』
監修:白井 聡


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本書は、難解な古典として知られる『資本論』を、「現代社会を読み解く」視点で、図解でわかりやすく解説した一冊です。
「資本主義とはそもそも何か?」から始まり、「会社はどうやって利益を生み出しているのか」「なぜ効率化しても仕事は減らないのか」「なぜ毎年数字に追われるのか」まで、私たちの日常と結びつけながら読み解きます。
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『資本論』は、単なる「お金の本」ではありません。
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