便利になったのに「作った人」が見えない!? 商品の裏側にある知られざる労働【眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話】

商品は仕事のリレーでできる

 1枚のシャツを作るのにも多くの作業・労働を必要としており、その労働が価値を生み出していることを説明しました。では、労働はどのように行われているのでしょうか。

 答えは「作業ごとに、手分けをして行われている」というものです。綿花を育てる人、服のデザインを考える人、実際に服を作る人、店で服を売る人。ほかにも、工場から店まで服を運ぶ人や、服を倉庫で管理する人、服の包装材を作る人など、ひとつのシャツを作って売る、というだけでも多くの作業が分担して行われています。分業はアパレル業界だけでなく、食品、不動産、サービス業など、あらゆる産業で行われています。

 社会の中で仕事が分かれ、それぞれがつながることで商品や生活が成り立つしくみを「社会的分業」といいます。現代では社会的分業を行うことが当たり前となっています。

 多くの人がそれぞれの仕事を担うことで、早く、安定して生産できるようになり、食品・生活必需品を含むさまざまな商品が市場に出回るようになりました。さまざまな労働を分業するからこそ世界が成り立っている、と『資本論』の中では語られています。けれども便利になるほど、一つひとつの労働は見えにくくなります。店頭に並んだ商品がどこで、誰が、どのように作ったのかは、ほとんど意識されることがないのです。

店に並ぶT シャツも、ひとりの仕事だけでできているわけではない。原料を作る人、布を作る人、縫う人、運ぶ人、売る人など、多くの仕事がつながっている。

服が売られるまで

社会的分業によって、商品は早く、安定して作られるようになる。けれども、完成品だけを見ると、その背後の労働は意識されにくくなり、またすべての工程を担う職人も数を減らした。

分業が社会を支える

【早く作れる】

それぞれの工程を専門の人が担当することで、効率よく生産できる。

【安定して作れる】

品質を保ちながら安定して作り続けられる。

【多くの商品が届く】

大量生産と流通のしくみによって、多くの人に商品が行き渡る。

でも、労働は見えにくくなった

【誰が作った?】

どんな人が働いたのか、名前や顔はほとんど見えない。

【どんな条件で働いた?】

賃金や労働時間、安全な環境かなど、働く条件は見えにくい。

【どれだけの手間がかかった?】

多くの工程と時間がかかっても、商品には表れにくい。


【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』監修:白井 聡

【監修者紹介】
白井 聡 (しらい・さとし)

政治学者、思想史家。1977年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。京都精華大学人文学部教員。レーニンの政治思想研究を出発点とし、現代日本社会や資本主義を鋭く読み解く論考で注目を集める。『永続敗戦論―戦後日本の核心―』(太田出版)で第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞を受賞。主な著書に『国体論菊と星条旗』(集英社新書)、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)、『今を生きる思想マルクス生を呑み込む資本主義』(講談社現代新書)などがある。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』
監修:白井 聡


【Amazonで購入する】

「AIで便利になったはずなのに、どうして働き方はラクにならない?」
「なぜ一部の人だけが、どんどんお金持ちになっていく?」
「“社会に必要な仕事”ほど給料が上がらないのはなぜ?」

そんな“現代社会の違和感”を、150年以上前に見抜いていた本――それがマルクスの『資本論』です。

本書は、難解な古典として知られる『資本論』を、「現代社会を読み解く」視点で、図解でわかりやすく解説した一冊です。
「資本主義とはそもそも何か?」から始まり、「会社はどうやって利益を生み出しているのか」「なぜ効率化しても仕事は減らないのか」「なぜ毎年数字に追われるのか」まで、私たちの日常と結びつけながら読み解きます。
剰余価値、労働力商品、資本の増殖といった『資本論』の重要キーワードも、図解だからスッキリ理解!

さらに本書では、“働き方”だけでなく、“欲望”や“価値観”までもが資本主義に組み込まれている現代社会の姿にも迫ります。
「好き」が消費に変わる仕組み、「何かしなくちゃ」と焦る休日――。
私たちの心や感情までが「資本」に回収されていく構造が、『資本論』を通して見えてきます。

『資本論』は、単なる「お金の本」ではありません。
“なぜ今の社会はこうなっているのか”を理解するための本です。

この本を読めば、あらゆる議論の見え方も、働くことへの感覚も、そして自分の感情の見え方もきっと変わります。

この記事のCategory

オススメ記事

求人情報

インフォテキストが入ります