「飛ばさない」と願うドライバー、「外す場所」を決定するアイアン。シングルが実践する究極のゴルフ・リスクマネジメント術

「いつもドライバーが右に左に曲がってOBばかり……」
「アイアンでピンを狙ったのに、ハザードにつかまって大叩きしてしまった……」

ゴルフのスコアがまとまらない最大の原因は、実はスイングの乱れではなく、コースの攻め方(コースマネジメント)にあります。

スイングを急に変えることはできなくても、「コースマネジメント」の考え方を変えるだけで、翌日のスコアが5打縮まることは珍しくありません。

多くのシングルプレーヤーが実践している究極のリスクマネジメント術を、ゴルフマンガ『ゴルフは気持ち』第17話「シングル」に描かれたエピソードを元に解説します。

100切り・90切りを目指すゴルファー必見の「大人のゴルフ」の神髄を紐解いていきましょう。


コースマネジメントの基本:必要なのは「攻め」ではなく「リスクの排除」

平均的なゴルファーとシングルプレーヤーの違いは、「攻めのゴルフ」をしているか、「守り(リスク排除)のゴルフ」をしているかにあります。

スコアがまとまらない人は「最高のショットを打ってピンに寄せること」を考えますが、シングルプレーヤーは「最悪のミスを絶対に避け、手堅くパーやボギーを拾うこと」を考えています。

特にドライバーとアイアンのショットにおいて、このリスクマネジメントの差は圧倒的です。


【ドライバー編】なぜシングルはティグラウンドで「飛ばさない」と心に唱えるのか?

ティグラウンドに立ったとき、アマチュアゴルファーの神田さんは「一発飛ばしてやろう!少しでも遠くへ……!」と意気込み、力んでスライスし、ボールを林に打ち込んでしまいました。

それに対して、ハンディキャップ8のシングルプレーヤーである稲垣さんは、こう考えてドライバーを構えます。

「飛ばさないように…… 叩いてはダメだ……」

普通のゴルファーからすれば「ドライバーなのに飛ばさないように打つなんて、矛盾しているのでは?」と思うかもしれません。しかし、ここにはシングルならではの深い計算があります。

力を入れて叩くから曲がる、という現実

シングルプレーヤーは、「3回に1回でもボールを曲げてしまったらスコアにならない」という現実をよく知っています。

そのため、ティグラウンドでは「いかに力を抜くか、いかに力まずにスイングするか」だけを考えます。

「力を入れて叩けば曲がる。飛ばそうとすれば曲がる」


逆に「力を抜いてスムーズに振った方が、ボールはまっすぐ飛び、結果的に十分な飛距離が出る」という事実を、膨大な経験から理解しているのです。

「力を抜くスイング」を完全に覚えるには10年かかると言われるほど、体から余計な力を抜くことは難しい技術です。

だからこそ、うまい人はスイングの直前まで「飛ばさない、飛ばさない」と自分に言い聞かせ、力みを徹底的に排除しているのです。


【アイアン編】アマチュアはパーオン率4割以下!シングルは「グリーンを外す場所」を先に決める

グリーンまで160ヤード、ピンは左。

このとき、普通のゴルファーは「ピンそばにつけてやる!」と考え、ピンだけを見つめてショットします。

結果、わずかに左へ引っ掛けたボールは崖下へと転げ落ちていきました。

しかし、シングルプレーヤーの思考プロセスは全く異なります。

彼らがアイアンを持つとき、考えているのはピンの位置ではなく「ハザードの位置」と「どこへミスすれば安全か」です。

「グリーンを外すことばかり考えて打つ」とは?

プロゴルファーであってもパーオン率は約6割であり、アマチュアゴルファーなら4割にも満たないのが現実です。

「グリーンには乗らない(外れる)確率の方が高い」のです。

それならば、打つ前に「安全にミスできる場所」を決めておくのが当然の戦略となります。

稲垣さんは打つ前にコースを観察し、キャディにこう確認します。

「左は崖だから左へはずしてはいけない……。右にはバンカーがあるな……ショートするとあれに入る……。キャディさん、右奥は?」

「バンカーはありません、広くて大丈夫ですよ」

この情報を元に、稲垣さんは以下のような戦略を瞬時に組み立てます。

「それならちょっと強めに右から攻めよう!右奥ならオーバーしても大丈夫。右奥にオーバーしてもピンは左だから寄せやすい。左へはずすとダメ、右へショートしてもダメ」

これが「グリーンを外すことばかり考えて打つ」というシングルの思考法です。

ハザードの多い左側や手前を徹底的に避け、ミスしても大きなケガにならない右奥の安全地帯を狙って、理詰めでショットを放つのです。

結果として、大きなミスを避けるためスコアが崩れず、気づけばナイスオンしている確率が高くなります。


実践!次のラウンドから使える「大人のリスクマネジメント」チェックリスト

シングルのような「理詰めのゴルフ」を実践するために、次のラウンドからティグラウンドとアイアンショットで使えるチェックリストを作成しました。

【ドライバー編】

  • スピーチ(独り言)効果を使う:構える前に「飛ばさない、絶対に叩かない」と声に出す、または心の中で強く唱える。
  • 素振りを2割の力で行う:練習スイングで「完全に力が抜けた状態」を体に覚え込ませる。

【アイアン編】

  • ピンを直接狙わない:特にピンの近くに崖や池、深いバンカーなどのハザードがある場合、ピンではなく「ハザードから最も遠いグリーンの中央や安全なエリア」を狙う。
  • 「絶対に外してはいけないエリア」と「外してもOKなエリア」を確認する:コースレイアウトを見て、OBや崖がある側を「絶対にダメなエリア」、芝が広くて平らな側を「外して良いエリア」と決める。
  • キャディやナビを活用する:ハザードの正確な位置や、目視できないグリーンの奥・横の状況を聞いて情報を集める。

まとめ:「まぐれのナイスショット」を期待するゴルフから卒業しよう

平均的なゴルファーは、自分の最高のスイングが「まぐれ」で出ることを期待して、常にピンをデッドに狙ったり、ドライバーをマン振りしたりします。

しかし、シングルプレーヤーは自分の技術レベルを冷静に把握し、最悪の事態(OB、崖下、バンカーなど)を避けるために「飛ばさないスイング」や「安全な外し場所」を徹底して選択します。

ゴルフは「失敗をいかに小さく抑えるか」を競う減点方式のゲームです。

ピンしか見えない「攻めのゴルフ」から、リスクを徹底して避ける「大人の引き算ゴルフ」へ。

考え方を少し変えるだけで、あなたのスコアカードは見違えるほどきれいな数字で埋まるようになるでしょう。

【DMMブックスで購入する】
【Amazonで購入する】

【書誌情報】
『ゴルフは気持ち(1)』
著:いけうち 誠一

ゴルファーなら誰もが経験する、その喜怒哀楽を臨場感あふれる細やかなタッチで描く、ゴルフ指南書!!
ゴルフは技術より、気持ちがものをいう。コンペの前の日に女房の父親が倒れた!
そんな時は「早く駆け着けなければ」という一心で、細かな結果を気にしなくなる。すると、そんな時ほど良いスコアがでるもので…!?

この記事のCategory

求人情報

インフォテキストが入ります