米国で肘手術続出 。「滑る球」に原因?【二宮清純 スポーツの嵐】

トミー・ジョンは手術後に164勝
マエケンこと前田健太(ツインズ)がテキサス州ダラスの病院でトミー・ジョン手術を受けた。
トミー・ジョン手術とは、読んで字のごとく1974年、ドジャースの左腕トミー・ジョンが左肘の腱を断裂した際、チームドクターのフランク・ジョーブ博士から受けたじん帯再建手術のこと。損傷した左肘のじん帯を切除し、他の正常な腱の一部を移植した。
手術前に124勝をあげていたトミー・ジョンは1年以上のブランクを経て復帰し、そこから164もの白星を積み上げた。実働年数は26年に及んだ。
そこで付けられたニックネームが「バイオニック・トミー」。超人、サイボーグといった意味である。
日本で初めてこの手術を受け、復活を遂げたのが“マサカリ投法”で知られる元ロッテの村田兆治。82年に右肘を故障し、「脳天に突け上げてくるような痛み」に悩まされていた村田は、83年8月、ロサンゼルスに飛び、ジョーブ博士の手術を受けた。
約1年のリハビリを経て復帰した村田が世間を驚かせたのは、85年のシーズン。開幕からの11連勝を含む17勝をあげ、カムバック賞に輝いたのである。
それ以来、多くの日本人が海を渡り、この手術を受けた。
話をマエケンに戻そう。スポニチ紙の記事によると、今回の手術は<腱だけの移植ではなく、人工の部品である補強テープ「インターナル・ブレース」を使い、傷ついた内側側副じん帯を補強するもの>(9月3日付)という。手術の技術も日進月歩のようだ。
それにしても、海を渡った日本人投手がトミー・ジョン手術を受けるケースは後を絶たない。国内でプレーする選手よりも、その比率ははるかに高いように思える。
思いつくだけでも、松坂大輔、和田毅、藤川球児、ダルビッシュ有、大谷翔平、そしてマエケン。もちろん、“勤続疲労”によるものだが、それだけか。
今夏の五輪に出場した米国代表のジョー・ライアン(ツインズ)は、使用した日本製のボールを「パーフェクト」と称え、返す刀で「米国のボールは(ビリヤードの)キューボールのように滑りやすい」と切って捨てた。
滑りやすいボールを制御しようとすれば、自ずと肩や肘に負担がかかる。ライアンは「日本製のボールなら米国で問題になっている(投手が不正に使用する)粘着性物質の問題も解決する」と語っていた。一考の余地はあると思うのだが……。
初出=週刊漫画ゴラク2021年9月17日発売号
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