天国と地獄は表裏一体?芥川龍之介の『蜘蛛の糸』に見る「易」の本質【一番わかりやすい はじめてのイーチンタロット】

知れば知るほどおもしろい易の世界【キーワード5 吉と凶

両方をとってはじめて道が見えてくる

 人間には煩悩があり、私たちは欲に沿って生きています。そうして願望実現のために四苦八苦するわけですが、易では「陽をつかむには陰をつかむことが大切」と考えます。吉ばかりとっていてはだめで、その吉と同等の凶も受けなければいけません。その2つを経験したうえで相殺することが中庸につながり、願いが叶いやすくなるのです。何事も楽をして手に入ることはありませんから、その願いのためにどうしたらいいか、現実的に手段を検討します。

 そこで私たちは「神様に祈ろう」ともします。個人の力ではどうにもできない事態が起きたときは祈祷や祈願をするわけです。「最後は神頼み」というところでしょうか。

 古代は天変地異に対する占いが主でしたが、昨今は個人の願いを叶えるために占いを用います。つまり「神の道」を占うことと「人の道」を占うことの二つがあるのです。

 これを易思想に当てはめるとおもしろい考察ができます。私たちの信仰には以下のような大きな流れがあります。

自然崇拝(アニミズム)
太陽や海など人間がつくりだせない自然物や動物を神とする信仰

人神崇拝・祖霊崇拝
偉人や先祖など人間を神とする信仰

 宇宙ができて、太陽ができて、地球ができて、生命体ができます。植物や微生物や動物たちが先に生まれます。自分たちよりも先にできたものは神の創造物であり、私たちにはあらがえないパワーをもつものとしてきました。のちに先祖たちが祖霊として崇拝され神となり、偉人が神として祀られ人神崇拝が生まれます。仏教が生まれると仏の道ができ、私たちが極楽浄土に行くには現世での修行が必要だと説かれ、修行が足りないと死後は地獄に行くと言われます。そもそも天国か地獄かという二元論の思想も易と重なります。

 芥川龍之介の『蜘蛛の糸』に出てくるお釈迦様とカンダタの物語を知っていますか? 地獄で苦しんでいたカンダタが、お釈迦様が垂らした一本の蜘蛛の糸をたどって天国を目指すのですが、煩悩が断ち切れず、結局は行けませんでした。しかし「カンダタにとって天国は本当に天国だったのか?」という視点が大切です。

 地獄を天国のように感じる人もいれば、天国を地獄に感じる人もいます。悩んでいるほうがやる気が出る人もいれば、悩みがないほうが不安という人もいます。つまり、どちらの道も私たちがどうありたいかで天国にも地獄にも見えるのです

 易を深めていくと、どう生きることが自分にとって最良かが見えてきます。私たちが神になろうとする欲求は、根底に神に許されたいという願いがあるからではないかとも思います。しかし、肉体をもつ限り、まずは人の道を全うすることが神なる近道でしょう。

【出典】『一番わかりやすい はじめてのイーチンタロット』著:愛新覚羅ゆうはん

【著者紹介】
愛新覚羅ゆうはん
中国黒龍江省ハルビン市生まれ。映画『ラスト・エンペラー』で知られる清朝の皇帝・愛新覚羅一族の流れをくむ。5歳のときに来日し、幼少期から備わっていた透視能力に加え、タロットや占星術なども活かして別名で占い・風水師として活動。当初鑑定していた医療・教育関係者の間で話題となり、15年で延べ20,000人以上を鑑定(2019年時点)。「人と運」の関係性を独自に研究しながら、中小企業向けの講演会や暦を活かしたセミナーや神社アテンドのイベントは全国で満員が相次ぐ。2020年より陶器上絵付け作家として国立新美術館で作品展示をするなど、多岐にわたって活動している。著書に『いちばんやさしい風水入門』(ナツメ社)、『眠れなくなるほど面白い図解ヤバい風水』(日本文芸社)、『腸開運』(飛鳥新社)、『神さま・仏さまとのご縁のつなぎ方』(ブティック社)などがある。

【書誌情報】
『一番わかりやすい はじめてのイーチンタロット』
著:愛新覚羅ゆうはん


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「当たるも八卦、当たらぬも八卦」
皆様、一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか?
この言葉は易からきています。占いは当たることもあれば外れることもあり、陰陽吉凶で成り立っていることを示します。
つまり、活用するのは吉ですが依存するのは凶ということです。
当てものではなく、出た内容を参考にしながら長い人生の旅路にどう活かすかが大切です。
そして占いの基礎・原点がこの「易」につまっており、このイーチンはその易の要素を多く含んだものとなります。
つまり、この本を手にしたあなたはもう「人生の苦難を乗り越える教えを手にした!」といっても過言ではないでしょう。
しかし、易と聞くと原文が漢文であることから簡単に読み取れないことがハードルで
「難しい!」と敬遠される方も多いのではないでしょうか?
本著では難しい漢文やそれについての和訳・解説はあえてしていません。
「はじめての易(イーチン)」を習得してみたい方向けに「極めてやさしい」作りとなっています。

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