一文を短くまとめることで読者の内容理解がスムーズに!小説のテンポを整える文章の直し方

\編集者の心をつかむ 人物・情景・心理の文章表現技法/

無駄な文章を削ると完成度が段違いに上がる

情報は足し算だけではありません。“どこまで伝える必要があるか”を意識してみてください。情報の引き算で、文章の輪郭がはっきりします。

POINT

  • 情報を見直してテンポを整える
  • 過剰描写・説明過多を避ける
  • “ノイズ”を削り、伝達効率を上げる

【編集者】情報量を削ることで伝えたい核心が浮き出る

 原稿の完成度を大きく左右するのが、“どこまで削れるか”という視点です。すべてを書き切ろうとする文章ほど、焦点が散り、伝えたい核がぼやけてしまいます。説明・比喩・心理描写――どれも過剰になれば読者の理解が鈍り、読み心地が重くなるでしょう。

 不安から説明を重ねてしまうと、情報は増えても理解は深まりません。削るべき箇所を見つける方法は、文章を“役割”で判定することです。この一文は物語を進めているか? 人物像を深めているか? 世界観を補強しているか? どれにも該当しない文は、読み味を損なう“ノイズ”になります。必要な文章だけを残すことで、テンポが整い、読者は内容に集中できます

 削るとは、情報を減らすことではなく、伝達効率を上げることです。編集者は、この一文の必要性をつねに問い続けます。残すべき核心だけを取捨選択できるようになると、文章は一段引き締まります。

【作家】短くまとまった文章は内容理解がスムーズ

NGな例

先輩のひとり息子の蓮の成長を窺い知れたのは幸運だった。自分のために命を落とした先輩刑事を開年悼み続けたものの、救われた想いになれた。蓮自身の葛藤や苦難は並大抵ではなかったはずだが、試練を克服して強くなろうとする心根がうれしかった。

① 本人の感情描写が過多で、訴求情報が整理できていない
② 物語を進めるパートではないため文章力は極力減らすべき

推敲でのシビアな原稿削除は物語を筋肉質な展開に仕上げる必須プロセス。冗長度の高さを自分自身で精査する訓練が書き手を育てます。

OKな例

自分のために命を落とした先輩刑事を悼み続けた。そのひとり息子の蓮の成長を目の当たりにした。葛藤や苦難は並大抵ではなかったはず。それでも強くなろうとする心根に胸がいっぱいになった。

① 余計な情緒表現を削ることで、逆に文末の温かな目線がいきる
② 一文を短くまとめることで、クールな文脈と世界観にフィット

リーダビリティを測定する目安は一文の長さにあります。もちろん短くまとまっているほど読みやすく、読者の内容理解がスムーズです。情報の引き算は読書量に比例するため日頃から意識してみてください。

 【出典】『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ

【著者紹介】
秀島迅
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞(KADOKAWA)から選出され、『さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝などの執筆も行なっている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカの篇』二作同時発売(講談社)、語彙力図鑑シリーズなど著書多数。また、コピーライターや映像作家としての顔も持ち、企業CM制作を現在も月10本以上手がけている。

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【書誌情報】
『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』
著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ


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