商品の値段はどう決まる?『資本論』の労働価値説が教える価値と手間の関係【眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話】

時間と労力をかけた商品ほど価値は高くなる

商品の奥に労働がある

 お店に並んだTシャツを見るとき、私たちが注目するのはふつう、色やデザイン、サイズ、値段などの情報です。「安い」「かわいい」と思って手に取ることはあっても、そのTシャツがどのように作られたのかまでを考えることはあまり多くないでしょう。

 しかし、1枚のTシャツが商品として店に並ぶまでにはたくさんの工程があります。綿花を集めて布を作り、その布を染めて裁断し縫い合わせる。そうして完成した服が箱に詰められ、運ばれ、店頭で売られます。作られた商品の背後には多くの時間と労力が積み重なっているのです。

『資本論』では、商品の価値を考えるうえで、この労働に注目しました。商品は、どれだけ便利なのかで価値を持つのではありません。その商品を作るために、手間や時間がどれだけ必要だったのかが価値を考える大事な手がかりになるのです。この考え方は「労働価値説」と呼ばれます。

 ただし、時間をかければ何でも価値が高くなる、というわけではないことに注意が必要です。たとえばTシャツ1枚を作るのに、ふつうは1時間でできる作業を10時間かけて行ったとしても、価値が10倍になるわけではありません。作られた商品の価値基準となるのは、あくまでその社会で同じ商品を用意するのに平均的に必要とされるだろう時間や手間なのです。

「手間」も価値を決める重要な要素

同じ質・量の商品があった場合、手間がかかっているほうが商品の価値が上がる。
この考え方を「労働価値説」と呼ぶ。


時間をかければいいわけでもない

同じクオリティのものであれば、時間を長くかけても価値は生まれない。

より時間と手間がかかったのは3時間かけて作られたシャツだが、価値が3倍になったりはしない。あくまで作業の平均時間を基に算出する。


【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』監修:白井 聡

【監修者紹介】
白井 聡 (しらい・さとし)

政治学者、思想史家。1977年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。京都精華大学人文学部教員。レーニンの政治思想研究を出発点とし、現代日本社会や資本主義を鋭く読み解く論考で注目を集める。『永続敗戦論―戦後日本の核心―』(太田出版)で第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞を受賞。主な著書に『国体論菊と星条旗』(集英社新書)、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)、『今を生きる思想マルクス生を呑み込む資本主義』(講談社現代新書)などがある。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』
監修:白井 聡


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