資本の目的は「人のため」ではなく「価値を増やす」こと!市場で「質より量」が優先される構造【眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話】

「売れればOK」「質より量」こそ資本主義の性格

資本は売れる量を求める

 店に行くと、新商品や限定商品が次々に並んでいる現代。選択肢が多く、欲しいモノを選べる社会は、一見すると豊かに見えます。けれども、商品がたくさんあることと、私たちの生活が本当に豊かになることは、同じではありません。たとえば、次々に新しいモデルが出るスマートフォンは選択肢の多様化をもたらしているように見えますが、型落ちしないように最新モデルを必死に追いかければ、お金が非常にかかり、結果として当人の豊かさを奪ってしまうことすらあるのです。

 資本にとって重要なのは、商品が売れ、価値が増えることです。もちろん、商品には使用価値が必要です。誰の欲求も満たさないモノは、そもそも売れません。しかし、目的はあくまで商品を売って価値を増やすことにあるため、役に立つかどうかより、売れるかどうか。人のためになっているかより、販売数や売上、利益が優先されやすいのです。

 だから資本主義社会では、商品が増え続けます。新しい商品を作り、売上を伸ばし、市場を広げ、さらに次の商品を出す。その流れがくり返されます。商品が増えることで便利になる面はあります。しかし、商品が増えるほど暮らしが豊かになるとは限りません。資本主義を見るときには、それが何のために作られ、売られているのかを考えることが大切なのです。

資本にとって大事なのは「売れること」

 商品には使う価値が必要だが、資本が重視するのは、それが人のためになるかより、売れて価値が回収できるかどうかである。商品が必ずしも人の役に立っているかどうかは関係しない。

人の暮らしから見た商品

人にとっては、自分の役に立ち、暮らしを支えることが大切。

資本から見た商品

資本にとっては、商品が売れ、価値が増えることが重要。

商品が増えても、豊かになるとは限らない

資本主義では、新商品を出し、売上を伸ばし、市場を広げる流れがくり返される。だが、商品が増えることと、暮らしの豊かさは同じではない。

資本主義では、「何のための商品か」よりも、「どれだけ価値が増えるか」が優先されやすい。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』監修:白井 聡

【監修者紹介】
白井 聡 (しらい・さとし)

政治学者、思想史家。1977年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。京都精華大学人文学部教員。レーニンの政治思想研究を出発点とし、現代日本社会や資本主義を鋭く読み解く論考で注目を集める。『永続敗戦論―戦後日本の核心―』(太田出版)で第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞を受賞。主な著書に『国体論菊と星条旗』(集英社新書)、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)、『今を生きる思想マルクス生を呑み込む資本主義』(講談社現代新書)などがある。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』
監修:白井 聡


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