【キャラの設定倒れを防ぐ文章術】過去・現在・未来を因果で結んでキャラを動かす方法

\世界観を壊さないためのキャラクターと設定の整合術/

設定を作ったはいいものの、伝わらない。
そんなもったいない話はありません。設定は説明ではなく描写で見せます。
世界のルールや言語を整理し、
読者が自然と納得する物語を作ります。


過去の“いきさつ”でキャラの行動理由を作る

“その人物がなぜ今その行動を選ぶのか”を言葉にしてみましょう。過去の経験と現在の理由が1本の線でつながった瞬間、物語の必然性が立ち上がります。

POINT

  • 過去・現在・未来を因果で結ぶ
  • 現在の行動に過去の学習と変化を反映
  • 未来の目的を明確にする

過去がキャラの行動を支え、目的が未来を照らす

 行動に説得力がないキャラクターの多くは、“その行動の源”が描かれていません。過去の体験が現在の価値観や判断を支え、その行動が未来の目的へ向かっているか。過去・現在・未来が1本の線で結ばれている人物は、自然に動きます。

 弱い原稿では、過去は設定として置かれるのみで、現在の行動とは断絶しがちです。悲しい過去がある、挫折を経験した、と書かれていても、それが今の選択にどう影響しているのかが描かれていないケースは少なくありません。重要なのは出来事そのものではなく、そこから何を学び、何を恐れ、何を望むようになったかです

 過去・現在・未来が因果で結ばれている人物の行動は、芯が通って伝わりやすく、編集者を納得させます。過去が動機を与え、現在の行動を起こす。そして未来の目的へつながっていくことで、物語に必然性が宿り、読者はより物語へ引き寄せられます。

キャラの“いきさつ”がリアルな人間関係を作る

 小説の奥行きを深め、主人公を含む登場人物の行動原理に説得力を持たせるには、過去を描くだけでは足りません。

 物事が現在に至るまでの複雑な事情や状況を表す“いきさつ”を入念に設計しましょう。さらに重要なのは“いきさつ”のキーワードの設定です。血塗られた幼少時代があるなら「復讐」、挫折続きの青春があるなら「成長」、はぐれた親を捜すなら「再会」というように。

 進行する物語を貫くキーワードがぶれることなく定まっていれば、キャラクターの性格や強さ・弱さ、長所短所がおのずと浮かび上がり、言動がリアルな人間像に近づきます

 読者の共感度とは、この人間らしい自然な感情の機微に敏感に反応します。“いきさつ”に裏づけされたキャラクターでぐいぐいと展開を動かせるようになれば、小説としての完成度が大幅にアップします。

“いきさつ”から現在の行動と未来の目的を生む

過去(いきさつ誕生)→ 現在(行動)→ 未来(目的)→ “いきさつ”で一本線にする

 【出典】『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ

【著者紹介】
秀島迅
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞(KADOKAWA)から選出され、『さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝などの執筆も行なっている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカの篇』二作同時発売(講談社)、語彙力図鑑シリーズなど著書多数。また、コピーライターや映像作家としての顔も持ち、企業CM制作を現在も月10本以上手がけている。

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【書誌情報】
『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』
著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ


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