月の岩石は“資源の塊”!? ロマンだけじゃない、月が人類にとって魅力的な理由とは【眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話】

人間にとって月にはどんな魅力があるの?

月にある資源とは?

 月には地球でもよく使われる資源が豊富にあることがわかっています。たとえば、アルミニウムは月の高地にある鉱物斜長石に、またチタンは月の表側の月の海の部分の玄武岩に含まれています。また、鉄も月の岩石などに存在していることがわかっています。

 月面でこれらの金属を採取精製できれば、宇宙探査に必要な建設材料やロケットの部品などに用いることができるでしょう。

 気体の形ではないものの、酸素もあります。

 それは月の岩石に含まれるイルメナイトで、チタンと鉄、酸素の化合酸化鉱物です。ここから酸素を抽出できれば、将来人間が月で生活するために必要な酸素が手に入るだけでなく、酸素を化合物として利用し、アルミニウムからロケット燃料や、水をつくることもできるのです。

 また、月の表面にある砂(レゴリス)に含まれるヘリウム3という物質も要注目です。ヘリウム3は太陽のなかの核融合反応ででき、太陽風に乗って月へ届きます。月には大気がないため、そのままレゴリスに吸着されています。このヘリウム3を水素の一種である重水素と核融合すると大きなエネルギーが発生するのです。

 もし、これが実現できれば放射性廃棄物もなく、原子力より大きいエネルギーを生み出せることになります。この莫大なエネルギーを地球に送ったり、月面で活用したりすれば、大きなエネルギー源を手に入れられると注目されています。

 このように、将来、人間が月で生活するために、また限りある地球の資源を補完するためにも、月の資源は大きな魅力なのです。

◉ 月の資源 ◉

アルミニウム

アルミニウムは、月の高地にある「斜長石」という鉱物に大量に含まれている。なかには斜長石を90%以上含む岩石もある。月のアルミニウムは、地球から持ち込んだ炭素や塩素と化合させて取り出す予定。炭素と塩素はリサイクルできる。

酸素

月には大気がないため、岩石のなかの酸素と化合した酸化鉱物から取り出す。なかでも、イルメナイトという、チタンと酸素が結びついた鉱物が豊富だ。イルメナイトから酸素を取り出すには、水素や炭素を加えて熱するという方法が一般的。

水素

水素は、ロケットの燃料や水をつくるための材料にもなる。水素は太陽風に含まれていて、月の砂(レゴリス)に吸着されているが、ごく少量しか含まないため、大量のレゴリスを処理する必要がある。レゴリスを加熱することで水素を取り出す。

チタン

チタンは、月の表側、海の部分にある玄武岩という黒っぽい岩石に含まれている。ただ、どのくらいの量があるかは不明のため、今後ガンマ線分光計などを使って、月の元素の分布を調べる必要があると考えられている。

鉄

鉄は月の岩石のなかや、鉱物に粒として含まれていることがある。鉄を取り出す鉱物として期待されているのがイルメナイトだ。イルメナイトはチタン鉄鉱とも呼ばれ、酸素とチタンを取り出すときに、副産物として鉄も取り出すことができる。

ヘリウム3

ヘリウム3は、レゴリスにごくわずかに含まれている気体で、核融合発電でエネルギーを産み出せるのではないかと期待されている。

レゴリス

レゴリスは金属や水素などを取り出すための資源の素材として重要。またレゴリスを焼き固めてレンガやガラスブロックをつくることで、太陽熱を蓄積するための材料や建設資材として使うことができる。

上記以外にも、月の資源としてケイ素がある。ケイ素は半導体の材料などに使うことができる。ほかにはマグネシウムやカルシウムなどもある。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』 監修:渡部潤一

【監修者紹介】
渡部潤一(わたなべ じゅんいち)
1960年、福島県生まれ。1983年、東京大学理学部天文学科卒業、1987年、同大学院理学系研究科天文学専門課程博士課程中退。東京大学東京天文台を経て、現在、国立天文台上席教授。総合研究大学院大学教授。国際天文学連合副会長。太陽系天体の研究のかたわら最新の天文学の成果を講演、執筆などを通してやさしく伝え、幅広く活躍している。主な著書は、『最新 惑星入門』(朝日新書)、『面白いほど宇宙がわかる15の言の葉』、『新しい太陽系』(新潮新書)など多数。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』
監修:渡部潤一


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