劇的な完成度を生むチャプターの入れ替え。読者を騙す「衝撃的なミスリード」の仕掛け方

\編集者の目に留まる物語創作のセオリー/

面白い物語の創作には、構成力が不可欠です。どこに山場を作るかという感情の設計から、読者が惹きつけられる冒頭の設計、すべてを設計していくのが構成です。


チャプターの入れ替えで劇的な完成度になる場合も

時系列やチャプターを変えても意味が通るなら、内部構造が強固な証です。再構成力は、作品の完成度を底上げする力といえます。

要点

  • 時系列を変更しても破綻しない作品に
  • 再構成は仕上げ段階のチェックで必要
  • 構成の強さは作品の完成度に関わる

物語の芯が通っているかを試す

 構成や時系列を入れ替えても破綻しないかという視点は、すべての原稿に必須というわけではありません。ただし、完成度の高い作品ほど、この耐性を備えています。

 構成が弱い原稿は、順序を少し変えただけで人物の行動理由が不明瞭になったり、物語の流れが崩れたりします。一方で、シーンの存在理由が明確で、構造がしっかり整理されている物語は、並べ替えても物語の核心が保たれるのです

 中盤の場面を前に移す、終盤の会話を序盤で示すなど、完成後に一度順番を壊してみて物語が破綻しなければ、構成が強い作品ということになります。“因果の芯”が存在すれば、読み手の理解は保たれるでしょう。それは、人物の動機が揺れないからです。再構成に耐えうる作品は、編集者にとって、「よく設計された、筆力の高い原稿」という判断材料のひとつになります。

チャプターの入れ替えはミスリードに有効

 構成の入れ替えによる骨子の確認は中級者以上の書き手が成せるテクニック。一般的な物語は時系列で進行するため、前後の内容を変えてしまえばストーリー展開に齟齬が出て、フラグや伏線が機能しなくなるのでは、と考えるのは当然です。

 この手法が有効なのは、多視点で特定の対象(容疑者など)を捉える場合。たとえば群像劇のミステリーでは、各チャプターをランダムに入れ替えることで、書き手が計算した以上の衝撃的なミスリードを読者に与えられるケースがあります。とはいえ構成の入れ替えが通用するのは通常、物語の序盤から中盤にかけて。試してみたい方はまず、起承転結の「起」「承」で試すことからはじめましょう。全体を大幅に入れ替えるのではなく、隣接するチャプターなり段落なりを前後させて検証してみるだけでも十分な気づきと価値があるはずです

実験的な再構成で大どんでん返しを思いつくことも

 【出典】『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ

【著者紹介】
秀島迅
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞(KADOKAWA)から選出され、『さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝などの執筆も行なっている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカの篇』二作同時発売(講談社)、語彙力図鑑シリーズなど著書多数。また、コピーライターや映像作家としての顔も持ち、企業CM制作を現在も月10本以上手がけている。

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【書誌情報】
『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』
著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ


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