【SNS疲れ】なぜ「いいね」に一喜一憂するのか?心を守るデジタル・バウンダリーの作り方

スマホの通知音やSNSの「いいね」の数に、一日中一喜一憂していませんか?デジタル空間に振り回されて心が疲弊しているなら、それはバウンダリーが崩れているサインかもしれません。なぜ私たちはネットの評価をこれほど渇望してしまうのでしょうか。書籍『しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー』の著者・長谷川俊雄先生に、SNSとの上手なつき合い方や、デジタル社会で自分らしさを守るためのバウンダリーの考え方についてお話を伺いました。


――スマホを肌身離さず持ち歩き、SNSの通知音や「いいね」の数、フォロワー数に一喜一憂して疲れ果ててしまう現代人は非常に増えています。これもバウンダリーが引けていないということでしょうか?

長谷川先生 まさに「デジタルとの境界線の混乱」ですね。そもそもなぜ、私たちはこれほど「いいね」や他者からの評価を渇望してしまうのか。その本質は、リアルな生活空間において、自尊感情や自己肯定感が満たされていないことにあります。

特にいまの子どもたちは、学校で自尊感情を満たされる機会が非常に少ない。私の少年時代は、「給食のお代わりチャンピオン」や「ドッジボールの神様」がクラスのアイドルになれました。

しかし現代の学校や社会では、成績が優秀な子や、際立ったスポーツの才能を持つ子ばかりが評価され、それ以外の人々は序列化されて自尊感情を奪われがちです。リアルな世界で「私はこれでいいんだ」と認められる経験があまりに少なすぎるため、その乾きをネット空間の数字で埋めようと執着してしまうのです。

――リアルでの満たされなさが、SNSへの依存を生む。では、どうすればそこから抜け出せるでしょうか?

長谷川先生最も重要な解決策は、「リアルな人間関係の中で、バウンダリーを引く練習を始めること」です。例えば、少し苦手な友だちと、自分も傷つかず、相手も傷つけないように適切な距離(バウンダリー)を引いてみる。リアルの世界でこれができるようになれば、自ずとデジタル空間に対しても、他人に振り回されない「自分の軸」をコントロールできるようになります。

―― まずはアナログな関係から練習を始めるのですね。情報の受け止め方についてもアドバイスはありますか?

長谷川先生 スマホやSNSは、アルゴリズムによって自分の好みの情報ばかりを流し続け、思考する力や自ら選択するチャンスを奪い、価値観をどんどん狭めてしまう側面があります。

だからといって、親がスマホを強制的に取り上げようとすると、「支配する側」と「抵抗する側」という関係になり、親子のバウンダリーはかえって混乱してしまいます。また、勉強している様子をタイムラプス動画で撮影して投稿する流行もありますが、これは「誰かに見られていないと勉強できない」という状態は、自分と他者との境界線が曖昧になっている一例ともいえるでしょう。

だからこそ、時にはスマホを置き、自分の意志で選び、自分のペースで向き合う時間を持つことが大切です。本を読んだり、ドキュメンタリーや考えさせられる映画をじっくり鑑賞したりする。さらに「あれこれ感じたことを誰かと語り合う」。そんな能動的な体験は、受動的に情報を消費するデジタルの時間とは異なり、自分らしさというバウンダリーを健やかに育み直してくれます。

リアルな体験を通して好奇心を育て、自ら考え、選択する力を取り戻すこと。それが、デジタル社会にに飲み込まれず、自分らしく生きるための土台になるのです。

【書誌情報】
『しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー』
著者:長谷川俊雄


【Amazonで購入する】

「頼まれると断れない」「相手の機嫌に振り回される」「自分ばかり我慢してしまう」――そんな人間関係の悩みは、バウンダリー(境界線)の乱れが原因かもしれません。
本書は、「からだ」「感情・意志」「責任」「時間」「お金」の5つの視点からバウンダリーをわかりやすく解説し、仕事や家庭で今日から実践できる具体的な対処法を紹介。「NO」と伝えるコツや適切な距離の取り方を身につけ、自分も相手も尊重しながら、安心・安全で心地よい人間関係を築くための一冊です。

【著者紹介】
長谷川俊雄(はせがわ・としお)

白梅学園大学名誉教授、社会福祉士、精神保健福祉士、NPO法人つながる会代表理事、social work lab MIRAI代表。
1981 年から横浜市役所の社会福祉職として現場で活動したのち、精神科クリニックのソーシャルワーカーに転職。その後、愛知県立大学での教員経験を経て、2009年に「NPO 法人つながる会」を設立。2010年から白梅学園大学に移り、教育・実践・政策提言に携わる。2023年に「social work lab MIRAI」を開設し、援助職支援や家族支援にも取り組む。「バウンダリー」についてのワークショップを各地で行っている

この記事のCategory

求人情報

インフォテキストが入ります