鳥が歩くときに首を振る理由は「景色のブレ防止」!『鳥の教科書』に学ぶ鳥の運動生態

鳥の運動と行動

鳥は、飛ぶだけでなく、歩く、泳ぐ、潜るなど、さまざまな方法で移動します。また、食べものを探したり、なかまとコミュニケーションをとったり、捕食者から身を守ったりするために、多様な行動も見られます。こうした行動や運動のしかたには、それぞれの鳥がくらす環境や生活の特徴がよく表れています。

2タイプの歩行

 鳥の歩き方は、「ウォーキング」と「ホッピング」の2つのタイプに分けられます。

 「ウォーキング」は、左右のあしを交互に前へ出して移動する方法です。一方、「ホッピング」は、両あしをそろえてピョンピョンと跳ねながら進む歩き方です。どちらを行うかは種によっておおよそ決まっていて、樹上性の小鳥はホッピング、地上性の鳥や大型の鳥はウォーキングを行います。ウォーキングで両あしが地面から離れる速い歩き方を「ランニング」といいます。

 カラス類やツグミ類など、ウォーキングとホッピングの両方を行う鳥もいます。ゆっくり歩くときはウォーキング、急ぐときや飛び立つ直前にはホッピングをすることが多いようです。

首振り

 ハトが、首を振りながら歩いているのはよく見る光景です。首を振っているように見えますが、実際には一歩ごとに首を前へ出し、頭の位置を一瞬固定しながら歩いています。このような歩き方をするのは、目が顔の横についている鳥です。

 鳥は眼球を自由に動かせないため、景色が流れて見えにくくなります。そこで頭を一瞬固定して景色の流れを止め、ブレないように見ているのです。このような動きは、ハトだけでなく、キジやハクセキレイなど多くの鳥で見られます。

潜水

 鳥の中には、水面や水中での行動を得意とする種がいて、「水鳥」と呼ばれます。また、海に生息する水鳥は「海鳥」とも呼ばれます。多くの水鳥はあしに、水かきがついています。また、カイツブリやオオバンなどは、「弁足」と呼ばれる、あしゆびが木の葉のような形をしています。これらの鳥は、水かきや弁足で水をかき、水面を移動したり、水に潜ったりします。

 あしに水かきがあっても、それを潜水の推進力には使わず、翼で水をかいて潜る鳥もいます。ウミスズメやツノメドリなどがそうですが、ペンギンはその中でも最も潜水に特化した鳥です。ウミスズメやツノメドリは翼で空を飛べますが、ペンギンの翼は板のような形になっていて、水中で力強く水をかける構造になっています。一方、水かきのあるあしは、主に方向転換に使われます。

群れをつくる

 群れをつくるのは、鳥の大きな特徴の一つです。家族だけの小さな群れから、何万羽にもなる大きな群れまで、その規模はさまざまです。同じ種だけで集まる場合もあれば、複数の種が集まって群れをつくることもあります。普段は1羽でくらす鳥でも、渡りやねぐらでは群れになるものが多く、採食や子育てのときに群れをつくる種もいます。

 では、なぜ鳥は群れをつくるのでしょうか。その理由として、主に次の3つが考えられています。

理由❶「安全だから」

 群れをつくる最大の理由は、1羽でいるよりも安全だからです。群れでいると、捕食者が狙う鳥は自分以外にもたくさんいます。群れが大きくなるほど、自分が狙われる危険は小さくなります。また、自分が捕食者の接近に気づかなくても、群れのほかの鳥が気づくことで、危険を早く知ることができます。

理由❷「捕食者を追い払える」

 鳥の中には、大集団で子育てをするものが少なくありません。大きな群れは捕食者に見つかりやすいという欠点がありますが、一方で、大勢が一斉に攻撃して捕食者を追い払えるという利点もあります。実際にアジサシ類では、大きな群れほど防衛力が高まり、繁殖成績がよくなることが知られています。

理由❸「食べものがとりやすくなる」

 ペリカン類やウ類などでは、群れでいっせいに行動し、魚を追い込むことがあります。このように、それぞれが協力して狩りをすることで、より多くの獲物をとることができます。

【出典】『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』著:柴田佳秀/監修:小宮輝之

【著者紹介】
柴田 佳秀 (しばた・よしひで)
科学ジャーナリスト。1965年生まれ。10歳から野鳥観察をはじめる。東京農業大学卒。自然番組のディレクターとして世界各地の鳥類を取材。2005年からフリーランス。図鑑・書籍の執筆や講演、自然番組の監修などに携わる。著書多数。日本鳥学会会員、都市鳥研究会幹事。
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【監修者紹介】
小宮 輝之 (こみや・てるゆき)
1972年多摩動物公園の飼育係に就職。2004〜2011年まで上野動物園園長。日本動物園水族館協会会長、日本博物館協会副会長を歴任する。2022年から日本鳥類保護連盟会長。環境省トキ野生復帰検討会委員、山階鳥類研究所評議員などを務める。

【書誌情報】
『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』
著:柴田佳秀/監修:小宮輝之


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