鳥の体はなぜ軽い? 空を飛ぶために進化した驚きの「内部構造」【鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書】

体の内部構造

鳥の体内の構造は、ほかの生きものでは見られない独特なものになっています。これは飛行に関連しているためで、基本的には軽量化と激しい運動に必要なエネルギーを効率よく得られる仕組みが備わっています。

鳥の骨は軽くて丈夫

 鳥の骨格は、空を飛ぶためにとても軽くできています。多くの骨の中は空洞で、骨の厚みも薄くなっています。

 また、頭蓋、胸郭、翼、骨盤、後ろあしの各主要骨がくっついて数が少なく、これも体を軽くするための工夫です。

 鳥の骨は軽いだけではなく、十分な強さもあり、骨の内部には細い骨が支えのように入り、折れにくい構造になっています。さらに、胸椎、肋骨、胸骨はしっかり組み合わさってかごのような形になり、大切な内臓を守っています。

特徴的な竜骨突起

 鳥の骨の中でもとくに特徴的なのが、「竜骨突起」と呼ばれる板状の突起がある胸骨です。ここには、翼を動かす大きな胸筋がついています。胸筋は鳥の体重の約35%を占めるほど発達しており、竜骨突起につくことで飛翔中の重心を安定させます。

 一方、飛ぶことをやめたダチョウやヒクイドリなどでは、竜骨突起は発達せず、胸骨は平らになっています。

脊骨(胸椎)は曲がらない

 鳥では、背中の脊椎骨は互いにくっついて胸椎となり、さらに腰の骨も癒合して「複合仙骨」になっています。このように背骨が一体化することで、飛行中に体を安定させるとともに、強い力に耐えられます。また、少ない骨で強度を保てるため、軽量化にも役立っています。

 一方で、背骨が曲がらないと不便なため、首の骨の頸椎が発達しています。頸椎の数は、ほ乳類では基本的に7個ですが、鳥では種によって異なり、多いものでは20個以上あるものもいます。そのため、首を大きく曲げたり、回したりできます。

イラスト/マカべアキオ

消化器官

 鳥には歯がないため、食べものをかみ砕かず、そのまま飲みこみます。食べものは食道を通って胃へ送られますが、食道の途中には「素嚢」というふくらんだ部分があり、食べものを一時的にためたり、柔らかくしたりする働きがあります。ただし、素嚢の大きさや形は種によって異なり、まったくない鳥もいます。

 素嚢を通った食べものは、「腺胃」に入ります。ここでは酸性の胃液が分泌され、食べものを消化します。その後、食べものは「筋胃」へ送られます。筋胃は、いわゆる「砂肝」のことで、厚い筋肉でできた壁をもち、食べものをすりつぶす働きをします。種によっては、筋胃に砂や小石を入れ、硬い食べものを砕くのに役立っています。

 腸は全体としては比較的短く、その長さは種によって異なります。果実を食べる鳥では、食べものが口から入って糞として総そう排泄腔から出るまで1 時間半ほどしかかからないこともあります。一方、消化しにくいものを食べる鳥では、半日以上かかる場合があります。

イラスト/マカべアキオ

呼吸の仕組み

 鳥は飛ぶために激しく運動し、さらに酸素の少ない高い空を飛ぶこともあるため、効率のよい仕組みの呼吸を行います。

 鳥の肺はあまり大きくありませんが、そのかわりに「気嚢」という薄い袋状の器官が発達しています。気嚢は気管支につながっており、種によって数は異なりますが、ふつう6~12個あります。気嚢は体のあちこちに広がり、翼やあしの骨の中にまで入り込んでいます。

 気嚢は効率よく一方向に空気を肺に送り込むポンプとして働き、呼吸のたびに新鮮な空気が送り込まれます。ほ乳類では、肺の中に前の呼吸で吸った空気が残りますが、鳥では古い空気が残りません。そのため、酸素を多く含んだ空気で効率よくガス交換を行え、飛翔に必要な大量の酸素を取り入れられるのです。


【出典】『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』著:柴田佳秀/監修:小宮輝之

【著者紹介】
柴田 佳秀 (しばた・よしひで)
科学ジャーナリスト。1965年生まれ。10歳から野鳥観察をはじめる。東京農業大学卒。自然番組のディレクターとして世界各地の鳥類を取材。2005年からフリーランス。図鑑・書籍の執筆や講演、自然番組の監修などに携わる。著書多数。日本鳥学会会員、都市鳥研究会幹事。
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【監修者紹介】
小宮 輝之 (こみや・てるゆき)
1972年多摩動物公園の飼育係に就職。2004〜2011年まで上野動物園園長。日本動物園水族館協会会長、日本博物館協会副会長を歴任する。2022年から日本鳥類保護連盟会長。環境省トキ野生復帰検討会委員、山階鳥類研究所評議員などを務める。

【書誌情報】
『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』
著:柴田佳秀/監修:小宮輝之


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