ティラノサウルスも鳥に近い仲間!骨格や分子生物学が明かす恐竜と鳥類の共通点【鳥の教科書】

【鳥ってどんな生きもの?】鳥の起源は恐竜

スズメやハトのような身近な鳥たちは、巨大な恐竜とはまったく別の生きものに見えます。しかし、化石の発見や骨格の比較、分子生物学の研究によって、現在では鳥類は「獣脚類」と呼ばれる一系統に含まれると考えられています。

では、鳥と恐竜にはどのような共通点があるのでしょうか。

シソチョウの発見

 鳥と恐竜の関係が最初に注目されたきっかけは、原始的な鳥類であるシソチョウの化石の発見でした。19世紀、ドイツの後期ジュラ紀(約1億5000万年前)の地層から見つかったこの化石には、羽毛の痕跡や叉骨といった鳥類の特徴がある一方で、爪のある前あしや骨のある長い尾など、恐竜に共通する特徴も見られました。

 シソチョウは、獣脚類から初期の鳥類が進化した過程を知るうえで、重要な化石とされています。

羽毛恐竜の発見

 かつて羽毛は、鳥類だけの特徴と考えられていましたが、1996年に中国で羽毛をもつ恐竜シノサウロプテリクスが発見され、その認識は大きく変わりました。その後、獣脚類のコエルロサウルス類に属する恐竜から、羽毛をもつ化石が数多く見つかっています。例えば、ドロマエオサウルス科のミクロラプトルは、羽毛からなる翼をもち、少なくとも滑空できたと考えられています。

 こうした研究から、羽毛はもともと体温維持やディスプレイ(求愛行動など)の機能をもち、のちに飛行にも利用されるようになったと考えられています。

そのほかの共通点

 骨格の比較も重要な手がかりです。鳥類と獣脚類には、軽くて内部が空洞になった骨(中空骨)や、V字型の叉骨といった共通の特徴があります。また、鳥類で発達している呼吸器官である気嚢も、恐竜が備えていた可能性が指摘されています。

 さらに、化石に残されたタンパク質の分析など分子レベルの研究からも、獣脚類のティラノサウルスは、ワニやトカゲよりもニワトリやダチョウなどの鳥類に近い系統に属することが示されています。

恐竜は今も生きている

 これらの証拠を総合すると、鳥類は恐竜とは別に生まれた生物ではなく、「恐竜の一部が進化し続けた姿」であると考えられます。約6600万年前の大量絶滅では、多くの恐竜が姿を消しましたが、すでに多様化していた鳥類のうち、現生鳥類につながる一部の系統は生き延びました。

 こうして生き残った系統が環境に適応しながら多様化し、現在の鳥類へとつながっていったのです。


【出典】『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』著:柴田佳秀/監修:小宮輝之

【著者紹介】
柴田 佳秀 (しばた・よしひで)
科学ジャーナリスト。1965年生まれ。10歳から野鳥観察をはじめる。東京農業大学卒。自然番組のディレクターとして世界各地の鳥類を取材。2005年からフリーランス。図鑑・書籍の執筆や講演、自然番組の監修などに携わる。著書多数。日本鳥学会会員、都市鳥研究会幹事。
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【監修者紹介】
小宮 輝之 (こみや・てるゆき)
1972年多摩動物公園の飼育係に就職。2004〜2011年まで上野動物園園長。日本動物園水族館協会会長、日本博物館協会副会長を歴任する。2022年から日本鳥類保護連盟会長。環境省トキ野生復帰検討会委員、山階鳥類研究所評議員などを務める。

【書誌情報】
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著:柴田佳秀/監修:小宮輝之


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