羽ばたき飛行の原動力は風切羽!揚力と推進力を生む鳥の翼のコントロール術とは【鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書】

\鳥の行動を学ぼう/

空を飛び、地上を歩き、水面を泳ぐ−環境に合わせて多様な生活を送る鳥たちの行動に注目してみましょう。 空の飛び方の違いをはじめ、歩き方のタイプ、水中での潜水方法まで解説します。また、季節ごとに移動する「渡り」の生態や、効率よく生き抜くために「群れ」をつくる理由など、鳥たちの行動の謎を紐解きます。


鳥の飛び方

鳥は、種によってさまざまな飛び方をします。飛び方は、大きく「羽ばたき」と「滑空」に分けられますが、同じ鳥でも、状況に応じてその両方を使うことがあります。飛び方の違いは、体の大きさやくらしている環境と深く関係しており、種による特徴を知ることで、野外で鳥を見分ける手がかりにもなります。

羽ばたき飛行・跳躍飛行

 羽ばたき飛行は最も基本的な飛び方で、翼を上下に動かして体を空中に浮かせると同時に、前進する力も生み出しています。羽ばたくことで、初列風切が飛行機のプロペラのように空気を後方へ押し出し、推進力を得ます。さらに、前進することで断面がかまぼこ形をした翼に体を浮き上がらせる力(揚力)が発生します。この動きを繰り返すことで、鳥は空を飛んでいます。

 羽ばたき飛行の一種に跳躍飛行があります。波状飛行とも呼ばれ、ヒヨドリやセキレイ類、キツツキ類など、体重200g以下の小鳥でよく見られる飛び方です。これらの鳥は、体の大きさに比べて羽ばたく力が強いため、羽ばたき続けると高度が上がりすぎてしまいます。

 そこで、数回羽ばたいて勢いをつけたあと翼をたたみ、体を前方へ投げ出すようにして進みます。そして速度が落ちる前に再び羽ばたいて加速し、また翼をたたみます。この動作を繰り返すことで、飛行の軌跡は波打つようになります。

 跳躍飛行は、ずっと羽ばたき続けるよりも消費エネルギーを抑えられることが知られています。つまり、小鳥にとって効率のよい飛び方なのです。

イラスト/マカべアキオ

滑空・帆翔

 翼を羽ばたかせず、広げたまま滑るように飛ぶ方法を「滑空」といいます。翼を動かさないため消費するエネルギーが少なく、大形の鳥では、羽ばたき飛行の合間に滑空を取り入れて飛ぶことで、エネルギーを節約していることが知られています。

 また、ディスプレイ飛行などの特殊な状況や、着地・着水の前にも、滑空して高度を下げる飛行がよく見られます。

 帆翔は滑空の一種で、通常の滑空のように高度を下げるのではなく、太陽の熱や風を利用して、羽ばたかずに上昇する飛行法です。エネルギーを節約できるため、大形の鳥は長距離移動にも利用します。また、ゆっくり舞いながら地上の獲物を探す際にも利用されます。

 アホウドリ類やミズナギドリ類は、海面からの高さによって違う風の強さの差を利用して、ほとんど羽ばたかずに飛びます。このような帆翔は「ダイナミックソアリング」と呼ばれます。

イラスト/マカべアキオ

ホバリング

 すばやく羽ばたきながら空中の一点にとどまる飛行法を、ホバリング(停空飛行)といいます。とくにハチドリはホバリングを得意とし、花の蜜を吸う際にこの飛び方を用います。また、カワセミやチョウゲンボウなども、空中に静止するように飛びながら、水中や地上の獲物を狙うタイミングをはかっています。さらに、小鳥が木の実をとったり、樹液を吸ったりするときにも、ホバリングが見られます。


【出典】『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』著:柴田佳秀/監修:小宮輝之

【著者紹介】
柴田 佳秀 (しばた・よしひで)
科学ジャーナリスト。1965年生まれ。10歳から野鳥観察をはじめる。東京農業大学卒。自然番組のディレクターとして世界各地の鳥類を取材。2005年からフリーランス。図鑑・書籍の執筆や講演、自然番組の監修などに携わる。著書多数。日本鳥学会会員、都市鳥研究会幹事。
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【監修者紹介】
小宮 輝之 (こみや・てるゆき)
1972年多摩動物公園の飼育係に就職。2004〜2011年まで上野動物園園長。日本動物園水族館協会会長、日本博物館協会副会長を歴任する。2022年から日本鳥類保護連盟会長。環境省トキ野生復帰検討会委員、山階鳥類研究所評議員などを務める。

【書誌情報】
『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』
著:柴田佳秀/監修:小宮輝之


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