紫外線も見えて人間の2.5倍の視力!進化を遂げた鳥たちの驚異的な感覚器官の仕組み【鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書】

\鳥の体を見てみよう/

鳥の感覚器官

鳥は、動物の中でもとくに優れた視覚をもっています。これは飛行と深く関係しており、高度な視覚によって巧みな飛行が可能になっています。鳥は音声によるコミュニケーションが発達しており、聴力も優れています。また、鳥は嗅覚が弱いと考えられてきましたが、近年の研究では、多くの鳥がにおいを感じ取っていることがわかってきました。

鳥の視覚

 鳥は目が大きく、ホシムクドリの眼球の重さは頭部の15%にも達し、ダチョウの眼球は直径5cmで、陸上脊椎動物では最大です。視力も優れています。中でも猛禽類は、人間の2.5~3倍の解像度で遠方を見ることができます。アメリカチョウゲンボウは、18m離れた木の上から2mmの虫を見つけられるといいます。

 鳥がカラフルな羽色をもつことからもわかるように、色覚も発達しています。鳥の目には、それぞれ異なる波長域の光を感じる4 種類の視細胞(錐体)があり、3 種類の錐体をもつ人間よりも豊かな色彩を認識していると考えられています。さらに近紫外線も見えるため、人間には雌雄同色に見える
種でも、鳥には違って見えていることがわかっています。

 「鳥目」という言葉から、鳥は夜に目が見えないと思われがちですが、実際には多くの種が夜間でも問題なく行動できます。夜行性の鳥だけでなく、昼行性でも夜に渡りをする種は多くいます。逆に、夜行性のフクロウは昼間は見えないと言われますが、そのようなことはありません。ただし、フクロウ類の網膜は、白黒の明暗を感じる桿体が大半を占めるため、色彩はあまり豊かには見えていない可能性があります。

 鳥の眼球の形は、球形や扁平形、筒形など種によって異なります。限られた頭部に大きな目を収めているため、人間のように眼球を自由には動かせず、その代わりに首をすばやく動かして視野を補っています。また、多くの鳥では目が頭の側面についており、片目ずつ周囲を見ています。一方、ツバメ類やヨタカ類、タカ類、フクロウ類では目が正面寄りについており、両眼視が発達しています。さらにヤマシギは、頭の後方寄りに目があるため、後方を広く見渡せる特殊な視野をもっています。

鳥の聴覚

 鳥はよく鳴き声を発する動物であり、聴覚も発達しています。耳は耳羽におおわれているため外からは見えにくいのですが、頭部の左右、目の後方に耳の穴があります。耳羽には、空気の乱れによる騒音を抑えたり、異物の侵入を防いだりする役割があります。

 鳥が聞き取れる音の高さの範囲は種によって異なり、ヒナの声や獲物が立てる音など、特定の音を敏感に聞き分ける能力をもつ種もいます。とくにフクロウ類では、左右で耳の穴の高さがずれている種があり、その差を利用して音源の位置を正確に把握し、暗闇でも獲物を捕らえることができます。なお、ミミズクの頭にある耳のように見える羽は羽角と呼ばれる飾りで、音は聞こえません。

鳥の嗅覚

 鳥は、においを感じ取る嗅球が小さいことから、長らく嗅覚はあまり発達していないと考えられてきました。しかし近年の研究により、多くの鳥類が、従来考えられていたよりも優れた嗅覚をもつことがわかってきました。

 例えばガンのヒナは、においによって食べられる草と食べられない草を学習し、ホシムクドリはにおいを頼りに適した巣材を選んでいます。また、マガモのオスは、メスが繁殖可能な状態かどうかを体臭で判断しています。さらに、ニュージーランドに生息するキーウィ類は、くちばしの先端に鼻孔があり、土にくちばしを差し込んで、においでミミズを探していることも実験で確かめられています。

鳥の触覚

 鳥では、くちばしが人間の手のような役割を果たしています。くちばしには指先のような触覚があり、種によってはよく発達しているものがいます。例えば、水中や泥の中にいる獲物を捕らえるカモ類やシギ類、ヘラサギ類は、くちばしの感触だけで食べものを探し当てることができます。こうした鳥のくちばしの骨格を見ると、神経が通る小さな穴がたくさんあいています。


【出典】『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』著:柴田佳秀/監修:小宮輝之

【著者紹介】
柴田 佳秀 (しばた・よしひで)
科学ジャーナリスト。1965年生まれ。10歳から野鳥観察をはじめる。東京農業大学卒。自然番組のディレクターとして世界各地の鳥類を取材。2005年からフリーランス。図鑑・書籍の執筆や講演、自然番組の監修などに携わる。著書多数。日本鳥学会会員、都市鳥研究会幹事。
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【監修者紹介】
小宮 輝之 (こみや・てるゆき)
1972年多摩動物公園の飼育係に就職。2004〜2011年まで上野動物園園長。日本動物園水族館協会会長、日本博物館協会副会長を歴任する。2022年から日本鳥類保護連盟会長。環境省トキ野生復帰検討会委員、山階鳥類研究所評議員などを務める。

【書誌情報】
『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』
著:柴田佳秀/監修:小宮輝之


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