「友だち親子」が子どもの自立を妨げる?親子関係に必要な「境界線(バウンダリー)」とは

子どもに対してイライラが止まらない、あるいは嫌われたくなくてルールを強く言えない……。そんな子育ての悩みを解消する鍵は、親子間の「境界線(バウンダリー)」にありました。『しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー』の著者である長谷川俊雄先生が、親子間のバウンダリーについて解き明かします。


――子育てで子どもにイライラして感情的に怒鳴ってしまったり、逆に厳しくできずに必要なルールを作れず、自信を失う親御さんも多いようです。

長谷川先生:子どもの発達段階に合わせた境界線の意識が大切ですね。0〜2歳の乳幼児期は、親子が溶け合う「バウンダリーベルト(母子カプセル)」の時期で、親は無条件の愛を注ぎ、子どもも全面的に親に依存します。

しかし、3歳を過ぎて子どもが生意気なことを言い始めたら、ベルトではなく明確な「ライン(境界線)」を引く意識が必要になります。

――生意気な態度をとられると、つい「どうして言うことを聞かないの!」と子どもを怒鳴って無理やり言うことを聞かせようとしてしまいます……。

長谷川先生:そこで立ち止まって考えてほしいのが、「なぜ子どもを変えようとするのか」というテーマです。じつは、親の都合で子どもを変えようとコントロールすることは、下手すると「支配・管理・暴力」になってしまうんですよ。私たちがよかれと思ってやっている「しつけ」はこれらと背中合わせで、そのしつけがオーバーラン、行き過ぎしてしまうと、最終的に「虐待」へと通じてしまいます。子どもを変えようと焦る前に、まずはありのままを愛しませんか。

――しつけのオーバーランが虐待に……。確かに親も余裕がないと支配的になってしまいますね。では、どうしてもイライラして感情が爆発しそうなとき、親はどう対処すればよいでしょうか?

長谷川先生:最も重要なのは、「このイライラという感情(マイ・フィーリング)の所有者は誰か」を考えることです。子どもが言うことを聞かないからイライラさせられていると思いがちですが、その不快な感情の所有者は、子どもではなく「自分(親)」自身なんです。

そして、自分の感情は、自分で受け止め、処理することが大切です。怒りや不安を子どもにぶつけ、子どもにその感情を受け止めさせようとすると、親子関係は少しずつ歪んでしまいます。

怒りが湧いたときは、まず「これは私の感情だ。自分で向き合おう」と、一度立ち止まって意識してみてください。そのうえで、別の部屋へ移動して深呼吸をする、お気に入りの音楽を1曲聴くなど、気持ちが落ち着くまで、時間を稼ぐ工夫を取り入れましょう。

【書誌情報】
『しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー』
著者:長谷川俊雄


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「頼まれると断れない」「相手の機嫌に振り回される」「自分ばかり我慢してしまう」――そんな人間関係の悩みは、バウンダリー(境界線)の乱れが原因かもしれません。
本書は、「からだ」「感情・意志」「責任」「時間」「お金」の5つの視点からバウンダリーをわかりやすく解説し、仕事や家庭で今日から実践できる具体的な対処法を紹介。「NO」と伝えるコツや適切な距離の取り方を身につけ、自分も相手も尊重しながら、安心・安全で心地よい人間関係を築くための一冊です。

【著者紹介】
長谷川俊雄(はせがわ・としお)

白梅学園大学名誉教授、社会福祉士、精神保健福祉士、NPO法人つながる会代表理事、social work lab MIRAI代表。
1981 年から横浜市役所の社会福祉職として現場で活動したのち、精神科クリニックのソーシャルワーカーに転職。その後、愛知県立大学での教員経験を経て、2009年に「NPO 法人つながる会」を設立。2010年から白梅学園大学に移り、教育・実践・政策提言に携わる。2023年に「social work lab MIRAI」を開設し、援助職支援や家族支援にも取り組む。「バウンダリー」についてのワークショップを各地で行っている

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