【子どもが片付けない】親子で対立しない「片付け」のルールとバウンダリー

「何度言ったら片付けるの!」と、子どもを正論で問い詰めてしまい、毎日のように親子バトルを繰り返していませんか?
じつは、片付け問題の根底には親子間の「理想ライン」のズレがあります。対立を避ける「最終ライン」の決め方と、相手を否定せずにこちらの事情を伝える「アイ・メッセージ(私主語)」の対話術をわかりやすく解説します。


――部屋を片付けない子どもに対して、親が「片付けなさい!」と怒り、子どもが反発する親子バトルは日常茶飯事です。

長谷川先生:片付けを巡る対立は、親と子どもの間で「片付いている状態」のバウンダリーの引き方のイメージが一致していないことが原因です。親が一方的に「自分の理想ライン」を押し付けると、子どもは自分のパーソナルスペースを侵害されたと感じて反発し、不毛な緊張が生まれます。

――どうすれば衝突を避けられますか?

長谷川先生:理想の基準を押し付けるのをやめて、親子で「これ以下はダメ」という『最終ライン』をあらかじめ設定しておくことです。例えば、「個室のフローリングが半分以上見えなくなったらアウト」「食べ残しや濡れたゴミをゴミ箱以外に放置したらアウト」など、最低限のラインを決めておくのです。

――「きれいに片付ける」ではなく、「最低限ここだけは守る」というラインですね。

長谷川先生:そうです。そしてそのラインを超えたときに注意を伝える際も、「正論で裁かない」ことが重要です。「きれいにした方が気持ちいいでしょ!」と正論を持ち出すと、親が「正しい存在」、子どもを「間違っている存在」としてジャッジすることになり、反発を招きます。そうではなく、「あなたの部屋が散らかっていると、お母さん(私)はイライラしたり悲しくなったりするの 。だからお母さんのために協力してくれない?」と、主語を「私(アイ・メッセージ)」にして自分の困りごとを伝えるのです。そして、子どもが片付けてくれたら「ありがとう、すごく安心した」と感謝を伝えます。

――「お母さんのために協力して」と言われると、子どももジャッジされていない分、素直に動きやすいですね。ところで、「部屋の乱れは心の乱れ」というのは本当でしょうか?

長谷川先生: それは一概には言えませんね。視覚的な美しさと、使い勝手としての機能的な整理は異なります。大学の研究室だって乱雑な部屋が多いですが、当人は「どこに何があるか」を機能的に把握して素晴らしい成果を上げています(笑)。 親自身だって、自分のキッチンの鍋やフライ返しの置き方は「使い勝手がいいから」と乱雑にしているのに、子どもの部屋には厳しいといった矛盾を抱えていることがあります。最終ラインを決め、アイ・メッセージで語りかけることで、無駄に傷つけ合わない健全なバウンダリーを育みましょう。

【書誌情報】
『しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー』
著者:長谷川俊雄


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「頼まれると断れない」「相手の機嫌に振り回される」「自分ばかり我慢してしまう」――そんな人間関係の悩みは、バウンダリー(境界線)の乱れが原因かもしれません。
本書は、「からだ」「感情・意志」「責任」「時間」「お金」の5つの視点からバウンダリーをわかりやすく解説し、仕事や家庭で今日から実践できる具体的な対処法を紹介。「NO」と伝えるコツや適切な距離の取り方を身につけ、自分も相手も尊重しながら、安心・安全で心地よい人間関係を築くための一冊です。

【著者紹介】
長谷川俊雄(はせがわ・としお)

白梅学園大学名誉教授、社会福祉士、精神保健福祉士、NPO法人つながる会代表理事、social work lab MIRAI代表。
1981 年から横浜市役所の社会福祉職として現場で活動したのち、精神科クリニックのソーシャルワーカーに転職。その後、愛知県立大学での教員経験を経て、2009年に「NPO 法人つながる会」を設立。2010年から白梅学園大学に移り、教育・実践・政策提言に携わる。2023年に「social work lab MIRAI」を開設し、援助職支援や家族支援にも取り組む。「バウンダリー」についてのワークショップを各地で行っている

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