路線長・車両数・利用者数で日本一!進化を続ける広島電鉄の歴史と今【眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話】

なぜ広島には地下鉄がなく路面電車が多いのか

大規模な路面電車網が残る唯一の都市

 広島の路面電車「広島電鉄(広電)」は、JR広島駅を起点に市内中心部や宮島方面などを結んでおり、路線の長さ、保有車両数、利用者数ともに日本一を誇ります。

 広電は、大正元年(1912)開業という長い歴史を持ち、原爆投下から3日後に一部運転を再開した「被爆電車」も、今も一部が現役で活躍しています。また、令和7年(2025)には、JR広島駅2階に路面電車が乗り入れる新ルートが開業するなど、今なお発展を続けています。

 一方で、広島は約118万人もの人口を擁する大規模な政令指定都市でありながら、地下鉄がありません。実は、広島市でも1960~70年代にかけて地下鉄構想が本格化したことがありましたが、広島の中心部は河川の河口部に位置するため地盤が悪く工事の難航が予想されたうえ、広電やバスの交通網がすでに住民の足として機能していたことから、地下鉄計画は頓挫しました。

 また、1970年代に広島県および市は、路面電車の廃止ではなく、自動車との共存や高速化を目指す方針へと転換。この決定により、広電は地下鉄への切り替えや廃止を免れ、今につながる基礎が築かれました。

 なお、現在の広電は、バリアフリー化やICカード対応などのLRT(次世代型路面電車)化の面でも高く評価されています。

日本一の路面電車網

広島原爆投下により被爆しながらも復旧・運行された「被爆電車」650形5両のうち、651号と652号は現在も運行している。

令和7年(2025)8月、広島電鉄の広島駅はJR 駅ビル2階に直結した高架ホームへ移転。アクセスや利便性が大幅に向上した。

動く路面電車の博物館

 広島電鉄の路線網の長さは、市内線(軌道線/路面電車)と宮島線(鉄道線)を合わせて約35.1km を誇ります。

 広電は、京都、大阪、神戸、北九州、福岡など全国の都市で廃止された路面電車を引き受け、今も走らせていることから「動く路面電車の博物館」と呼ばれる一方で、バリアフリー仕様の超低床車両「グリーンムーバー」の導入を積極的に進めるなど、新しい時代の路面電車へと進化しています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』監修:佐々木卓也

【監修者情報】
佐々木卓也(ささき・たくや)

野外歴史地理学研究家。第35回広島文化賞受賞(平成26年度)。昭和29(1954) 年8月1日、広島市佐伯区生まれ。間学苑:時空人論研究所主宰、ひろしま歴史街道トリップ実行委員会座長、広島地名研究会事務局代表、石垣を讃える会代表世話人、棚田学会会員(元監事)、広島市内公民館活動団体指導員、中国新聞文化センター専属講師。広島県立広島観音高等学校卒業、奈良大学文学部地理学科卒業、広島大学大学院文学研究科研究生終了、京都大学教養部人文地理学教室研修員修了。国立呉工業高等専門学校・国立広島商船高等専門学校・国立大島商船高等専門学校・広島修道大学短期大学部講師を歴任。広島県史編纂室第三部会委員・広島市教育委員会調査委員・奈良広島両県町村史編纂委員を歴任。主著『芸備両国の条里遺構』(溪水社)、共著『広島県地名大辞典』(角川書店)、『日本地名基礎辞典』(日本文芸社)、『日本石造文化事典』(朝倉書店)ほか。専門は歴史地理学・地域民俗学・文化人類学・日本地名学ほか。趣味は歴史街道散策・石垣景観探訪・旅行企画策定など。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』
監修:佐々木卓也


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