【コラム】減る高校野球部員 高野連は助成金を【二宮清純 スポーツの嵐】

少子化の波をどう乗り越えるか?

 智弁和歌山の5年ぶり4回目の優勝で幕を閉じた夏の甲子園。大会累計入場者数は80万2100人で、全席指定となった2022年以降で最多を記録した。

 甲子園人気とは裏腹に、高校の硬式野球部員数は減少の一途をたどっている。

 日本高野連が、今年6月に発表したデータによると、2026年度の部員数は、前年比1265人減少の12万4116人。ピーク時(14年度=17万312人)と比較すると約27%減だ。

 部員数減少の最大の理由は、言うまでもなく少子化だ。14年夏に高校3年生だった生徒は96年度生まれ。この年度の出生数は約120万6000人。翻って26年度の高校3年生は08年生まれ。この年度の出生数は約109万1000人。わずか12年の間に、10万人以上も減っているのだ。参考までに示せば、25年度の出生数は外国人を含め70万5809人。50年には60万人台前半にまで減少すると見られている。

 競技人口の減少は他の競技にも見られることだが、26年度の高校サッカー部員数は13万7925人で、硬式野球部員を上回っている。落ち込みが激しいのが野球の特徴だ。

 なぜ野球を続ける子どもたちは減っているのか。その理由のひとつとして考えられるのが用具代の高騰である。サッカーもバスケットも、おカネがかかることに変わりはないが、グラブにバット、ボール、キャッチャーともなるとマスクにミット、レガース、プロテクターまで揃えなければならず、家計の負担は増すばかりだ。さらには、泣きっ面に蜂とばかりに原材料費や人件費、輸送費の高騰が追い打ちをかける。原材料の中には、海外から輸入しているものも多く、円安が店頭価格を押し上げている。

 あるスポーツ用品メーカーによると、かつて5万円台が主流だった硬式用グラブは、今や7万円台に突入しているという。かわいい子のためとはいえ、ポンと7万円のグラブを買い与えることのできる家庭は、そう多くあるまい。

 そこで考えたい。少子化を最大の原因とする部員数の減少は止められないにしても、減少率を下げることはできるのではないか。

 高野連は甲子園を中継するNHKや民放から放映権料を徴収していない。これは事実上のユニバーサルアクセスで、高校野球の普及に貢献したことは事実である。

 だが、部員数の減少が加速する今、これを見直し、獲得した放映権料を原資に、助成事業を行なう――。こうした支援策もありではないか。今こそ知恵の絞り時である。

初出=週刊漫画ゴラク9月11日発売号

この記事のCategory

求人情報

インフォテキストが入ります