ホトトギスはなぜ特別だった?万葉集から枕草子まで日本人に愛される鳥の生態【鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書】

日本人とホトトギス

万葉集で最多登場の鳥

 カッコウ類のホトトギスほど、昔から日本人に愛されてきた鳥はいないでしょう。この鳥は、5 月中旬になると東南アジアから渡ってきて特徴的な声で鳴き、夏を告げる鳥として人々の心をとらえました。

 とくに古典文学の世界では、ホトトギスはよくとりあげられ、中でも『万葉集』には150首以上ものホトトギスの歌が収められています。これは鳥の中で最多です。

 また、卯の花や花橘といった初夏の花とともに詠んだ和歌が多く、「夏告げ鳥」として、その声を聞くことを人々が心待ちにしていたことがうかがえます。

 さらに、万葉集には驚くべき内容の歌があります。

 この歌から、当時すでにホトトギスのヒナがウグイスの巣で育つことが知られていたのがわかります。ただ、当時の人々が、托卵していることまで知っていたかどうかは、この歌だけでは判断できません。しかしながら、少なくともホトトギスとウグイスとの間に何らかの関係があることは知られていたのでしょう。

清少納言とホトトギス

 平安時代になってもホトトギスの人気は衰えません。『古今和歌集』には43首、『後撰和歌集』には38首、『拾遺和歌集』には41首が収められています。

 また、清少納言が書いた『枕草子』にもホトトギスが登場します。「鳥は」ではじまる有名な段では、「ほととぎす」を真っ先に挙げ、その魅力を絶賛しています。

 さらに『枕草子』には、清少納言が友人たちと牛車に乗り、ホトトギスの声を聞くために郊外まで出かけたという話もあります。当時の人々が、それほどまでにこの鳥の声に強い憧れを抱いていたことがわかります。

 その後もホトトギスは和歌や俳句の題材として詠まれ続けました。

 しかし現代では、ホトトギスはかつてほど身近な存在ではありません。それでも、初夏の森に響くその声は、古代から変わらず日本人の心を惹きつけ続けています。


【出典】『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』著:柴田佳秀/監修:小宮輝之

【著者紹介】
柴田 佳秀 (しばた・よしひで)
科学ジャーナリスト。1965年生まれ。10歳から野鳥観察をはじめる。東京農業大学卒。自然番組のディレクターとして世界各地の鳥類を取材。2005年からフリーランス。図鑑・書籍の執筆や講演、自然番組の監修などに携わる。著書多数。日本鳥学会会員、都市鳥研究会幹事。
ーーーーーーーーーーーーーー
【監修者紹介】
小宮 輝之 (こみや・てるゆき)
1972年多摩動物公園の飼育係に就職。2004〜2011年まで上野動物園園長。日本動物園水族館協会会長、日本博物館協会副会長を歴任する。2022年から日本鳥類保護連盟会長。環境省トキ野生復帰検討会委員、山階鳥類研究所評議員などを務める。

【書誌情報】
『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』
著:柴田佳秀/監修:小宮輝之


【Amazonで購入する】

「鳥検定」(2027年初頭に第1回実施予定)の公式ガイドブック。検定試験の問題はすべて本書から出題される。
野鳥の観察を趣味としている人たちをはじめ、文鳥やインコなど鳥をペットとして飼っている、コンパニオンバード愛好家など“鳥ファン”は数多い。2024年末~25年初めに国立科学博物館で開催された特別展「鳥」は、多くの来場者で賑わいを見せた。
本書は、鳥の特徴や種類、名前のルールをはじめ、鳥のからだのイラスト解説などの基本的な知識を掲載。また、飛び方や声、さえずり、求愛給餌といった鳥の興味深い行動にも触れる。さらに、鳥をからだや行動の特徴によってダチョウ、カモ、キジなどの「なかま」に分類し、カラー写真を使って図鑑の体裁でわかりやすく紹介する。
この本は、「鳥検定」の公式ガイドブックとして鳥の雑学的知識が得られる内容にするとともに、知識の正誤が確認できる受検用練習問題も収録。まさに「受検が待ち遠しくなる」必携の1冊!

この記事のCategory

求人情報

インフォテキストが入ります