くちばしと花の長さがほぼ同じ!? ハチドリと花の驚くべき共進化【鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書】

花とハチドリの共進化

蜜を巡る協力関係

 ハチドリと花の関係は、動物と植物の共進化の代表例としてよく知られています。共進化とは、一方が進化すると、それに対応してもう一方も進化し、互いに影響を与えながら変化していくことです。

 花は受粉のために花粉を運んでくれる動物を必要としています。一方、ハチドリは生きるために花の蜜を必要としています。そのため、ハチドリに花粉を運んでもらう植物は、ハチドリを効率よく呼び寄せる特徴を発達させてきました。

ハチドリが好む花

 ハチドリが利用する花にはいくつかの共通点があります。赤やオレンジなど目立つ色をもち、花の奥に蜜がたまる細長い筒状の形をしています。

 また、強い香りを出さないという特徴もあります。これは、ハチドリの嗅覚があまり発達していないためで、視覚で花を探すハチドリに目立つ花弁の色でアピールする作戦です。

くちばしと花の長さが同じ

 ハチドリのくちばしもさまざまな形へ進化しました。短いものから長いものまで種による違いが大きく、それぞれが利用する花の形と深く関係しています。

 その代表例がヤリハシハチドリです。この鳥のくちばしは最長で10.5cmにも達し、全長の半分ほどになります。一方、よく利用するトケイソウの一種の花も長さ11.4cmの細長い形をしています。花の奥には豊富な蜜がたまり、それを利用できるのは長いくちばしをもつヤリハシハチドリだけです。そのためハチドリは蜜を独占でき、トケイソウは確実に花粉を運んでもらうことができます。

 こうしてハチドリと花は互いに影響しながら進化し、切っても切れない関係を築いてきました。ただし、このような特殊な花と特殊なハチドリとの1対1の関係はあまり多くありません。多くのハチドリはいろいろな花を利用しており、その戦略はじつに多様です。いずれにしても、花はより確実に花粉を運んでもらうために、ハチドリはより効率よく蜜を得るために進化してきました。今日見られる多様なハチドリと花の姿は、長い年月にわたる共進化の結果なのです。


【出典】『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』著:柴田佳秀/監修:小宮輝之

【著者紹介】
柴田 佳秀 (しばた・よしひで)
科学ジャーナリスト。1965年生まれ。10歳から野鳥観察をはじめる。東京農業大学卒。自然番組のディレクターとして世界各地の鳥類を取材。2005年からフリーランス。図鑑・書籍の執筆や講演、自然番組の監修などに携わる。著書多数。日本鳥学会会員、都市鳥研究会幹事。
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【監修者紹介】
小宮 輝之 (こみや・てるゆき)
1972年多摩動物公園の飼育係に就職。2004〜2011年まで上野動物園園長。日本動物園水族館協会会長、日本博物館協会副会長を歴任する。2022年から日本鳥類保護連盟会長。環境省トキ野生復帰検討会委員、山階鳥類研究所評議員などを務める。

【書誌情報】
『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』
著:柴田佳秀/監修:小宮輝之


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