「運動させて体力をつけよう」は逆効果?休んでも取れない子どもの疲れは“体”ではなく“脳”にあった

たくさん寝たのになぜ?十分に眠ったはずの我が子が「朝からぼんやりしている」原因とは
子どもの疲れの正体は「体の疲れ」ではなかった
そもそも、疲れは体にたまるものではないの?
子どもが疲れている様子を見ると、「体を動かしすぎたのだろう」と考えるかと思います。外で元気よく遊んで いたり、クラブ活動や習い事で忙しい日々を送っていたりする子どもの姿を思い浮かべると、疲れの原因は体にあるように感じられるのも当然です。
確かに、体の疲れはわかりやすいものです。たくさん動いた日は眠くなり、しっかり休めば回復します。翌朝にはスッキリ起きられ、また元気に動けるでしょう。体の疲れは、休むことで比較的リセットしやすい性質を持っています。
ところが、子どもの様子をよく見ると、必ずしもその通りになっていないケースがあります。夜は寝ているはずなのに朝からぼんやりしていたり、休日にゆっくり過ごしても元気が戻った感じがしなかったりと、体を休ませているのに疲れが抜けきらない状態が続くのです。
本当の疲れは脳に隠れていた
このとき、残っている疲れは体のものではない可能性があります。本当の原因は、考え続けたり、切り替え続けたりすることで生じる「脳の疲れ」です。脳は、一日中止まることなく使われています。授業を聞く、内容を理解する、次の行動に切り替える、周囲に合わせる。こうした脳の働きは、体を大きく動かしていなくても続いています。とくに現代の子どもは、考えることや判断することが多く、その分、脳が働き続ける時間も長くなりがちです。
脳に疲れがたまっていると、集中が続かなかったり、切り替えに時間がかかったりします。また、気持ちの余裕がなくなり、ちょっとしたことでイライラしやすくもなります。これらは、体力不足ではなく、脳の余力が減っている状態で起こりうる反応です。
「たくさん寝たはずなのに、なぜか元気がない」「休みの日のなのに、何もせずダラダラしている」。子どもがそういう状態に陥ったときは、体の疲れではなく、脳の疲れが残っていないかを考えてみましょう。疲れの正体が違えば、必要な休息方法もまた変わってきます。
体の疲れは、横になって休んだり、眠ったりすることで回復しやすい一方、脳の疲れは、それだけでは十分に抜けきりません。考えることや対応することから離れ、脳が安心して力を抜ける環境が必要です。
子どもが疲れやすいという悩みを持つ親御さんは、「体力をつけさせよう」「運動をもっとさせよう」と体の面での対策を考えがちです。しかし、実は体はそれほど疲れておらず、脳だけがかなり消耗しているケースが意外と多いのです。そういうときは、ただ寝て体を休めただけでは、脳の疲れはなかなか抜けません。
疲れには種類があり、それぞれに合った回復の仕方がちゃんとあります。まずは「子どもの疲れは体の疲れだけじゃない」ということを、心に留めておいてください。この視点を持つだけで、正しい方法で子どもの負担を減らせるようになります。
より具体的に理解できるよう、子どもの脳の構造について解説していきます。子どもの脳がどのような仕組みになっていて、どう育っていくのかを見ていきましょう。
寝ているのに元気が戻らない
十分に眠ったはずなのに、朝からぼんやりしていることがあります。
そのときは体ではなく、脳の疲れが残っていないかを考えてみましょう。

【出典】『子ども脳疲労』著:成田奈緒子
【著者紹介】
成田奈緒子(なりた・なおこ)
小児科医・医学博士・脳科学者。発達脳科学を専門とし、子どもの睡眠や生活リズムと脳の発達の関係を長年研究。医療現場で多くの親子と向き合うなかで、子どもの不調の背景には睡眠不足や過干渉など家庭環境の影響が大きいことに着目する。脳の発達段階に即した子育てのあり方を提唱し、講演・執筆活動を通じて広く発信。親子支援事業・子育て科学アクシスを主宰し、保護者向け講座や教育支援にも力を注いでいる。著書に『誤解だらけの子育て』(扶桑社)、『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP 研究所)、共著に『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB クリエイティブ)などがある。
【書誌情報】
『子ども脳疲労』
著:成田奈緒子
「子どもはいつでも元気」はもう通用しない!?
不機嫌・だらだら・集中切れは、「子ども脳疲労」が原因だった!
「うちの子、集中力がないのでは?」「すぐにシャットダウンしてしまうのは体力不足?」
そんな悩みを抱える親御さんは少なくありません。
しかし、その原因は性格でも、やる気の問題でもありません。
実は――子どもの「脳の疲れ」が関係している可能性があります。
かつては「子どもはいつでも元気」という考え方が一般的でした。
けれど現代の子どもたちは、情報量の増加、忙しいスケジュールによる睡眠不足、親の過干渉など、
目に見えない負荷を日常的に受けています。
元気そうに見えても、脳が十分に休めていない――
それが「子ども脳疲労」という状態です。
本書では、子どもの脳と発達を長年研究してきた専門家が、
「なぜ今の子どもは疲れやすいのか」
「脳が疲れると、行動や感情に何が起こるのか」 を、わかりやすく解説します。
さらに、家庭でできる環境の整え方や、
子どもが本来持っている回復力を引き出すための関わり方を紹介。
無理にがんばらせるのではなく、脳を休ませることで、子どもは自分から動き出す――
そのためのヒントが詰まった一冊です。
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