「誤嚥」とはどんな状態のこと?【長生きのど習慣】

誤嚥が招く危険な誤嚥性肺炎は嚥下機能強化で予防

 いつまでも健康でいたいと、体力アップの運動や記憶力維持の脳トレなどに励んでも、それだけでは長生きがかなわないこともあります。大切なのは食べ物や飲み物を飲み込む嚥下機能の強化。飲み込む力を鍛えれば、いつの間にか忍び寄る誤嚥性肺炎を防ぐことができるのです。

 ノド仏(喉頭)は、食道と気管の分岐点(仕分けする部分)であり、食べ物は食道を通り、酸素は喉頭から気管を通り肺にいきます。喉頭の入口にある「喉頭蓋」という防波堤を通って、食べ物が通ります。

 しかし、年齢を重ねてノドの知覚や筋肉や反射神経が衰えると喉頭蓋がきちんと閉じなくなり、食べ物が誤って喉頭から気管に流れてしまうことがあるのです。これが誤嚥を招く仕組み。

 ムセたり咳が出たりして食べ物を気管から出すことができれば良いのですが、出し切ることができず肺に到達してしまうと肺炎の原因となります。

 誤嚥には主に3つのパターンがあります。1つ目は、ここまでお伝えしてきた飲食物が喉頭から気管に入る食物誤嚥。2つめは、唾液が喉頭から気管に入ってしまう唾液誤嚥。就寝中など気づかないうちに起こることがあります。3つ目は胃食道逆流性誤嚥。胃に入った食べ物が逆流して喉頭から気管に流れてしまう誤嚥です。

 こうした誤嚥性肺炎での日本人の死亡者数は年間およそ6万人で、死因の第6位。だれにでも起こりうる病なのです。

誤嚥を起こしたノド 


誤嚥から肺炎につながる

■ 喉頭蓋が喉頭をふさぐことができず、本来は食道に入るべき食べ物が喉頭から気管に入ってしまう。
■ 食べ物が喉頭から気管に入ると、炎症を起こして気管支炎から肺炎に。咳、たんが増えたら誤嚥性気管支炎や誤嚥性肺炎を疑う。


【出典】『長生きのど習慣』著:西山耕一郎/熊井良彦

【著者プロフィール】
西山 耕一郎(にしやま・こういちろう)
北里大学医学部卒業後、横須賀市立市民病院に勤務。横浜赤十字病院(現・横浜みなと赤十字病院)耳鼻咽喉科副部長、国立横浜病院(現・横浜医療センター)耳鼻咽喉科医長、北里大学耳鼻咽喉科診療助教授を経て、2004年に西山耳鼻咽喉科医院を開業。東海大学客員教授。藤田医科大学客員教授。嚥下相談医。嚥下認定士。神奈川県嚥下キーパーソン。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医師として、30年間で約1万人の嚥下障害患者の診療を行う。主な著書に『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』(飛鳥新社)『のどを鍛えて肺炎を防ぐ!』(大洋図書)『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』(幻冬舎新書)。
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熊井 良彦(くまい・よしひこ)
長崎大学大学院耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授。主な専門分野は聴覚障害、嚥下障害、音声障害。1999年に熊本大学を卒業し、熊本大学での准教授を経て、現職。長崎大学病院嚥下障害治療センター長、長崎大学病院頭頸部腫瘍センター長を併任する。

【書誌情報】
『長生きのど習慣』
著:西山耕一郎/熊井良彦


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