「今どんな気持ち?」に答えられない子にはどうする?不安を“3つのゾーン”で伝える方法とは?【「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論】

子どもに伝える「ポリヴェーガル理論」

 ここまでで、ポリヴェーガル理論のポイントを理解していただけたと思います。それを踏まえて、もし目の前に不安ぐせを抱える子がいるなら、不安になるメカニズムや自律神経の役割をわかりやすく伝えてみてはいかがでしょうか。

3つの自律神経は体のなかにいる「3人のレーサー」

 本書では、自律神経をレーサーにたとえています。体のなかに「こうちゃん(交感神経)」「はいちゃん(背側迷走神経)」「ふくちゃん(腹側迷走神経)」という3人のレーサーがいると教えてもよいでしょう。

3つの自律神経はどんなレーサー?

こうちゃん
(交感神経)

 いつも元気いっぱいで、ドキドキワクワクできるような体験が大好き。ときどきスピードを出しすぎちゃうことも。

イラスト:なか

はいちゃん
(背側迷走神経)

 ひとりでのんびり、リラックスするのが好き。不安になると心と体に急ブレーキをかけて、あなたを守ろうとするよ。

イラスト:なか

ふくちゃん
(腹側迷走神経)

 誰かと一緒に、楽しくすごしたりリラックスしたりするのが好き。

イラスト:なか

交感神経

「こうちゃんは元気いっぱいで、いつもあなたをドキドキワクワクさせてくれるよ。でも、頑張ってスピードを出しすぎると、怒りんぼになったり逃げ出しちゃったりすることもあるんだ」

背側迷走神経

「はいちゃんはひとりでいるのが好きなんだ。あなたがひとりでのんびりしているときは、はいちゃんがちょうどいいブレーキをかけているんだよ。でも、あなたにつらいこといやなことがあったときは、あなたを守るために急ブレーキをかけることもあるよ」

腹側迷走神経

「ふくちゃんは誰かと一緒に楽しく過ごすのが大好き。お友達とおしゃべりしたり遊んだりして、楽しい気持ちになるときがあるよね? そんなときは、体のなかでふくちゃんが頑張ってくれているんだよ」

 自律神経が自分を守るために頑張っていること、自分の気持ちと結びついているかが伝われば大成功です


自律神経がもたらす3つのゾーンは子どもがわかる言葉に置き換える

 続いては、過覚醒ゾーンと耐性領域、低覚醒ゾーンの3つのゾーンです。これらのゾーンを知ることで、自律神経が自分の気分にどう関わっているのかがわかり、不安になるメカニズムの理解も深まります。

楽しく学べるよう、3つのゾーンを伝わりやすい言葉に置き換えるとよいでしょう。

火山ゾーン(過覚醒ゾーン)

「ドキドキソワソワイライラしているときは、この火山ゾーンにいるよ」

なかよし・まんぷくゾーン(耐性領域=神経基盤)

「ひとりで のんびりしたり、家族やお友達と楽しく過ごしたりしているときは、このゾーンにいるよ」

海底ゾーン(低覚醒ゾーン)

「つらかったり怖かったりして、動けなくなっちゃったときは、このゾーンにいるよ」

 3つのゾーンがあることを伝えたあとは、自律神経ともっと仲良くなることで、気持ちも体も楽になることを伝えましょう。それが、ワークを始めるさいの入り口にもなります。

今の気分はどのゾーン?

イラスト:なか

自律神経がもたらす3つのゾーンを、子どもがわかる言葉に置き換えた図です。自律神経と気分の関わりを伝えたうえで、「今はどのゾーンにいると思う?」と尋ねてみてもよいでしょう。

【出典】『「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論』著:浅井咲子 / イラスト:なか

【著者紹介】
浅井 咲子
公認心理師、神経セラピスト。立教大学卒業後、外務省在外公館派遣員として在英国日本国大使館勤務。その後、米国ジョン・F・ケネディ大学院にて、カウンセリング心理学の修士課程(身体心理学専攻)を修了。オークランドの地域カウンセリングセンターにて研修を行う。帰国後、教育センターや企業内で相談員として勤務。2008 年、セラピールーム「アート・オブ・セラピー」を設立し、自己調整とレジリエンスのある生活を提案し続けている。
著書に『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめるポリヴェーガル理論』(日本文芸社)、『不安・イライラがスッと消え去る「安心のタネ」の育て方』(大和出版)、『「今ここ」神経系エクササイズ』『「いごこち」神経系アプローチ』(梨の木舎)、翻訳書に『子どものトラウマ・セラピー』『トラウマによる解離からの回復』(国書刊行会)、『レジリエンスを育む』『発達性トラウマ治癒のための実践ガイド』(岩崎学術出版社)など。
ーー
ブログ: https://ameblo.jp/artoftherapy/
HP「ART of therapy」: https://assakijp.wixsite.com/artoftherapy/profile

【書誌情報】
『「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論』
著:浅井咲子 / イラスト:なか


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3つの自律神経を味方につけて
〈不安ぐせ〉を〈安心習慣〉に変える!

いつも不安にふりまわされて、
シクシク、くよくよ、イライラ……
「うちの子、もしかして不安になりやすい?」
「人より繊細なのかな?」と思ったら
ぜひ本書の「ポリヴェーガル理論」にもとづくワークを試してみてください。

ポリヴェーガル理論は、ステファン・ポージェス博士が提唱した神経理論で、
自律神経を「交感神経」と「2つの副交感神経(背側迷走神経・腹側迷走神経)」の3つとして捉えます。

・人の表情や声色、変化によく気がつく
・大事なイベントの前にネガティブなイメージをしがち
・登園時、登校時はこれから過ごす時間を考えて泣いてしまう
・にぎやかな人の近くにいると、いつもイライラ
こうした「不安ぐせ」は性格から生まれるものではなく、
心と体を守ろうとする安全システムが働くことで生まれるもの。

本書では、ポリヴェーガル理論にもとづき、
子どもの「不安ぐせ」のしくみをやさしく解説しながら、
親子でできるシンプルなワークを紹介します。

不安やストレスを感じても
「わたしは大丈夫」「なんとかなる」と思える力――“レジリエンス”を、子どもと一緒に育てていきます。
がんばって変えようとしなくて大丈夫。
安心は、親子の関わりのなかで、少しずつ育っていきます。

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