寝るときも飛ぶ!? 314日間飛び続けたアマツバメの驚きの生態【鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書】

アマツバメ目は、アマツバメとハチドリが含まれる470種を超える大きなグループで、
スズメ目に次いで2番目に種数が多い目もくです。

アマツバメ科の鳥は、優れた飛翔能力を発達させて世界中へ分布を広げ、
ハチドリ科の鳥はホバリング能力を獲得し、
花の蜜を効率よく利用する生活に適応し、たくさんの種がうまれました。

鳥界最高の飛行家アマツバメ

何でも飛びながら

 アマツバメ科の鳥は、生活のほとんどを空中で過ごすグループです。最も特徴的なのは翼で、初列風切が極端に長く、先が尖った鎌形やそれに近い形をしています。この形は、力強く羽ばたかなくても高速で飛行でき、さらに羽ばたきと滑空を繰り返すことで、あまりエネルギーを使うことなく飛ぶことができます。中でもハリオアマツバメは、時速130kmとも170kmともいわれる速度で飛び、これは水平飛行では鳥類最速とされますが、科学的に確認されたものではありません。

 さらにアマツバメ類は、採食はもちろんのこと、飲水、巣材集め、交尾まで、何でも飛びながら行ってしまいます。一方で地上はほぼ利用せず、枝にとまることもないのであしはとても貧弱です。あしが大きいと空気抵抗や体重の増加につながるため、最小限ですむ方が都合がよいのです。あしを使うのは、巣にいるときや休息時に木の幹や崖にとまるときくらいで、4本の指はすべて前を向き、爪を引っかけてしがみつくようにとまります。巣は岩の崖の隙間や大木の洞、建物の壁面などに作られます。

10か月間も飛び続ける

 何でも飛びながら行うアマツバメ類は、寝るときも飛び続けています。スウェーデン南部で繁殖するヨーロッパアマツバメを捕獲してデータロガーという機器を体に取りつけて調べたところ、西アフリカと中央アフリカの2つの地域で越冬し、その間の約10か月間(314日)は一度も休むことなく飛び続けていたことがわかりました。このことから、飛びながら寝ていると考えられています。

燕の巣のスープ

 中華料理の高級食材「燕の巣」は、アナツバメ類の巣です。アナツバメは大きな洞窟の中に営巣し、自分のだ液だけを材料に巣を作ります。人はそれを昔から食用に利用してきたのです。近年、東南アジアのタイでは、街の中にコンクリート製の建造物を作ってアナツバメを呼び寄せ、その巣を利用する産業があります。かつては洞窟の高い壁を命がけで登って採集していましたが、今では専用の建物から効率よく採集できるようになりました。


【出典】『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』著:柴田佳秀/監修:小宮輝之

【著者紹介】
柴田 佳秀 (しばた・よしひで)
科学ジャーナリスト。1965年生まれ。10歳から野鳥観察をはじめる。東京農業大学卒。自然番組のディレクターとして世界各地の鳥類を取材。2005年からフリーランス。図鑑・書籍の執筆や講演、自然番組の監修などに携わる。著書多数。日本鳥学会会員、都市鳥研究会幹事。
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【監修者紹介】
小宮 輝之 (こみや・てるゆき)
1972年多摩動物公園の飼育係に就職。2004〜2011年まで上野動物園園長。日本動物園水族館協会会長、日本博物館協会副会長を歴任する。2022年から日本鳥類保護連盟会長。環境省トキ野生復帰検討会委員、山階鳥類研究所評議員などを務める。

【書誌情報】
『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』
著:柴田佳秀/監修:小宮輝之


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