「人間は脳の10%しか使っていない」はウソ?睡眠中も休まず働く脳の「無意識の仕事」とは【眠れなくなるほど面白い 図解 脳内物質の話】

「人間は脳の10%しか使っていない」は本当か?

むしろ全体を使って大量の仕事をこなしている

脳の重さは、体重の約2%程度であるにもかかわらず、脳が使用するエネルギー量は基礎代謝(生命維持に必要な最低限のエネルギー消費)全体の20%にものぼります。なぜ、脳はこれほどのエネルギーを必要とするのでしょうか?

かつて脳にはニューロン以外の細胞が多数あることはわかっていましたが、その機能まではわかっていない時代がありました。「脳は一部しか使われていない。脳は全体の10%しか使われていない」という誤解が生まれた背景には、このような事情があったと考えられます。

しかし、だからといって、脳が10%しか使われていないというわけではありません。現在では、神経細胞以外の細胞にも役割があり、それらの働きなくして脳は正常な機能を果たせないことがわかっています。

その代表が、グリア細胞です。脳にはニューロンと同じくらい、あるいはそれ以上のグリア細胞が存在すると考えられています。

脳には思考や記憶以外にも、生命を維持するためにやらなければいけない仕事がたくさんあります。10%どころか、むしろ100%フルに働かないといけないので、できるだけ省エネかつ効率的に仕事をこなそうとしているほど。脳が多くのエネルギーを使用するのは無理もありません。

脳は自分で自分の世話をする

脳には、情報伝達をするニューロンだけでなく、ニューロンの世話や環境を整えるグリア細胞がたくさん存在している。

脳は意識していないところでの仕事が多い

脳にとって思考や計算、予測といった意識のあるところでの仕事(意識的な処理)は、全体の割合でいえば少なめで、むしろ意識していないところでの仕事(非意識的な処理)が多くを占めている。眠っていても記憶の定着処理や体温調節など無休で働いてくれている。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 脳内物質の話』監修:毛内 拡

【監修者紹介 毛内 拡(もうない・ひろむ)】
1984年、北海道生まれ。お茶の水女子大学ヒューマンライフサイエンス研究所助教。
東京薬科大学生命科学部卒業後、東京工業大学(現・東京科学大学)大学院で博士号(理学)を取得。日本学術振興会特別研究員、理化学研究所研究員を経て、2018年よりお茶の水女子大学助教。生体組織機能学研究室を主宰。脳の情報処理機構やグリア細胞の研究に従事し、文部科学省の「世界で活躍できる研究者戦略育成事業」であるTRiSTARフェローとしても活躍。
著書に『脳を司る「脳」―最新研究で見えてきた、驚くべき脳のはたらき』(講談社:第37回講談社科学出版賞受賞)など多数。メディア出演も多く、脳科学の魅力を一般向けにわかりやすく伝えている。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 脳内物質の話』
監修:毛内 拡


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