縄文時代から食べられていた!生産量日本一を誇る「広島のカキ」の歴史と養殖技術の進化【眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話】

\おいしくてユニークな広島の食文化/

カキは縄文時代から広島名物だった?

時代とともに進化したカキの養殖法

 「広島のグルメ」と聞いて、まっさきに「カキ」をイメージする人は多いでしょう。広島湾は波が穏やかで、太田川などから栄養分が豊富な河川水が流れこむため、カキの養殖に適した環境が整っています。現在、広島県はカキの生産量で日本一を誇り、実に全国の約6割を占めています

 広島でカキの養殖が始まった時期については諸説あり、天文年間(1532~1555)とも寛永年間(1624~1644)ともいわれています。ただし、広島とカキとのつながりはさらに古く、縄文・弥生時代の貝塚からカキ殻が出土しており、その頃から広島湾の天然のカキが食べられていたことがわかっています。

 江戸時代初期の延宝年間(1673~1681)には、「ひび(篊)建て式」と呼ばれる、干潟に竹や木を立ててカキを付着させる養殖法が確立されました。その後、元禄13年(1700)に三次藩が殖産奨励の一環として、沿岸部にあった草津村(現・広島市西区草津周辺)など飛領のカキ生産業者に大坂で販売する権利を与えたことから、やがて広島のカキが関西方面や瀬戸内海各地でも食されるようになっていきました。

 また、近代以降には、ひびで採苗育成したカキ塊を針金で吊るす杭打式、筏からカキを吊るして育てる筏式垂下法などの技術が導入され、生産量がさらに増加していきました。

広島とカキ

世界初の人工カキ養殖技術

 延宝年間(1673~1681)、草津村(現・広島市西区)の小林五郎左衛門らが干潟に竹や木を立ててカキを付着させる「ひび建て式」という養殖法を開発。これは世界初の人工カキ養殖法といわれており、生産性を飛躍的に向上させました。なお、この養殖法が確立される以前は、干潟に石を置いてカキを付着させる「石蒔き」と呼ばれる手法が主流でした。

カキとノリの深い関係

 広島湾のノリ養殖は、江戸時代から続く長い歴史を持ち、かつては江戸と並ぶ二大産地として知られていました。実は、ノリ養殖はカキ養殖と深い関係があります。ノリ業者はカキ殻に糸状体(胞子が糸状になったもの)を付着させることで、ノリ網へ種付けする胞子を採取します。また、カキは餌となるプランクトンを食べ、排出物としてノリの成長に必要な窒素やリンを海中に放出します。

 この相互関係によりカキとノリは広島の二大水産業となりましたが、明治時代に始まった沿岸開発により、広島市内のノリ養殖は衰退していきました。

【筏式垂下法によるカキの養殖】
海上に筏を浮かべ、そこからカキの種(稚貝)が憑いたホタテの貝殻を連ねたロープを海中に吊り下げて養殖する。


【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』監修:佐々木卓也

【監修者情報】
佐々木卓也(ささき・たくや)

野外歴史地理学研究家。第35回広島文化賞受賞(平成26年度)。昭和29(1954) 年8月1日、広島市佐伯区生まれ。間学苑:時空人論研究所主宰、ひろしま歴史街道トリップ実行委員会座長、広島地名研究会事務局代表、石垣を讃える会代表世話人、棚田学会会員(元監事)、広島市内公民館活動団体指導員、中国新聞文化センター専属講師。広島県立広島観音高等学校卒業、奈良大学文学部地理学科卒業、広島大学大学院文学研究科研究生終了、京都大学教養部人文地理学教室研修員修了。国立呉工業高等専門学校・国立広島商船高等専門学校・国立大島商船高等専門学校・広島修道大学短期大学部講師を歴任。広島県史編纂室第三部会委員・広島市教育委員会調査委員・奈良広島両県町村史編纂委員を歴任。主著『芸備両国の条里遺構』(溪水社)、共著『広島県地名大辞典』(角川書店)、『日本地名基礎辞典』(日本文芸社)、『日本石造文化事典』(朝倉書店)ほか。専門は歴史地理学・地域民俗学・文化人類学・日本地名学ほか。趣味は歴史街道散策・石垣景観探訪・旅行企画策定など。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』
監修:佐々木卓也


【Amazonで購入する】

●なぜ広島には路面電車が多いのか?
●なぜ嚴島神社は“海の上”に建てられたのか?
●なぜ広島の食文化はこれほど独特なのか?

その答えは、ガイドブックには載っていない――。

シリーズ累計400万部突破!
眠れなくなるほど面白い図解シリーズの“エリア本”最新作!!

本書は、名所や観光スポットの紹介ではなく、
「なぜそうなったのか?」という“理由”から広島を読み解く一冊です。

古代の遺跡や神話の痕跡にはじまり、
瀬戸内海を支配した水軍、城下町の発展、近代化と軍都の歴史、
そして原爆投下という出来事まで――。
広島の歩みをひもとくと、現在の街の姿や文化の背景が見えてきます。

さらに、牡蠣やお好み焼き、レモン、日本酒などの食文化、
全国でも珍しい交通事情や地形の秘密、
思わず人に話したくなる雑学までを網羅。

・広島で見つかった日本最古級の石器の謎
・「草戸千軒」と呼ばれた幻の都市とは?
・広島に地下鉄がない本当の理由
・縄文時代から続く“牡蠣文化”のルーツ
・「ヒバゴン」など不思議な伝説の正体

など、知れば知るほど面白いテーマが満載です。

一見バラバラに見える歴史・文化・地理は、すべてつながっている。
その“つながり”を知ったとき、広島の見え方は一変します。

図解だからスッと理解できて、誰かに話したくなる。
知識が一気につながる快感を味わえる一冊です。

読むだけで終わらない。
広島という街の“本当の面白さ”に気づく一冊です。

この記事のCategory

求人情報

インフォテキストが入ります