ダーウィンが食べて新種発見?『鳥の教科書』に学ぶ走鳥類レアとヒクイドリの生態

【鳥のなかまたち】
世界と日本にくらす多様な鳥たちの個性豊かな姿や生態、

人間との関わりの歴史など、鳥類全体の奥深い魅力を紹介します。


草原を走るレアと最恐の鳥ヒクイドリ

翼が武器のレア

 レア目の鳥は、南アメリカの広い草原にくらす走鳥類です。レアとダーウィンレアの2種が知られていて、見た目はダチョウによく似ています。しかし、体はダチョウよりやや小さめで、あしの指は3本あります。

 レアは、1羽のオスと複数のメスで群れをつくって繁殖します。複数のメスが同じ巣に卵を産むため、1つの巣に50個以上の卵が集まることもあります。卵をあたためたり、ヒナの世話をしたりするのは主にオスの役目。この時期のオスはとても気が荒くなり、捕食者には強力なキックで立ち向かいます。縄張りを巡ってオス同士が争うときには、翼を広げて打ち合うような行動も見られます。レアにとって翼は武器なのです。

 ダーウィンレアには、有名な発見のエピソードがあります。進化論で知られるチャールズ・ダーウィンは、測量船ビーグル号で南アメリカを調査していたとき、食べてしまったレアが、それまで知られていた種類とは違うことに気づきました。あわてたダーウィンは残っていた頭や翼、羽毛などを集めて標本を作り、その後の研究で新種だと判明したのです。

世界一危険な鳥のヒクイドリ

 ヒクイドリ目の鳥は、オーストラリアとニューギニア島に生息する走鳥類です。熱帯雨林にくらすヒクイドリ科3種と、草原にくらすエミューがこのなかまに含まれます。どちらもあしの指は3本です。

 ヒクイドリは、熱帯雨林にくらす唯一の走鳥類として知られています。分布するのは、オーストラリア北東部とニューギニア島。オスよりもメスの方が大きく、大型のメスでは体重が85kgほどになることもあります。これはダチョウに次ぐ重さです。

 あしの指には、長さ12cmにもなる鋭い爪があります。重い体を支えるあしの力も非常に強く、ナイフのような爪を使ったキックは大変危険です。実際に人が死亡した事故もあり、「世界一危険な鳥」としてギネスブックに認定されています。

 主な食べものは地面に落ちた果物で、1日に100個ほど食べることもあります。糞には果物の種子が含まれていて、ヒクイドリが森の中を歩き回ることで種子が運ばれます。こうして植物の分布を広げ、熱帯雨林を支える重要な役割を果たしています。

【出典】『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』著:柴田佳秀/監修:小宮輝之

【著者紹介】
柴田 佳秀 (しばた・よしひで)
科学ジャーナリスト。1965年生まれ。10歳から野鳥観察をはじめる。東京農業大学卒。自然番組のディレクターとして世界各地の鳥類を取材。2005年からフリーランス。図鑑・書籍の執筆や講演、自然番組の監修などに携わる。著書多数。日本鳥学会会員、都市鳥研究会幹事。
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【監修者紹介】
小宮 輝之 (こみや・てるゆき)
1972年多摩動物公園の飼育係に就職。2004〜2011年まで上野動物園園長。日本動物園水族館協会会長、日本博物館協会副会長を歴任する。2022年から日本鳥類保護連盟会長。環境省トキ野生復帰検討会委員、山階鳥類研究所評議員などを務める。

【書誌情報】
『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』
著:柴田佳秀/監修:小宮輝之


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