大人の寄り添いが子どもの心を育てる!「協働調整」で伸ばす自己調整力と安心感【「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論】

\子どもの「乗り越える力」を育むために/
子どものうちは、誰かとのつながりのなかで心地よさを味わう、おだやかなブレーキの腹側迷走神経が未発達な状態。そのため、不安からうまく抜け出すことができません。
そこで必要になるのが、身近なおとなと一緒に心地よさを味わうことで、子ども自身の神経系をよい状態にする「協働調整」です。協働調整を重ねるにつれて腹側迷走神経は発達し、不安になっても落ち着きを取り戻しやすくなります。
腹側迷走神経を育てる「協働調整」
誰かと関わりながら心地よさを感じさせてくれる腹側迷走神経は、交感神経や背側迷走神経が働きすぎそうになったとき、おだやかなブレーキをかけてくれます。
しかし、腹側迷走神経は生まれてすぐにフルに働きはじめるわけではありません。お世話をしてくれるおとななど、身近なおとなと関わりながら安心を感じる経験を重ねることで、少しずつ働くようになっていくのです。
腹側迷走神経が未発達な子どもは、交感神経のアクセルと背側迷走神経の急ブレーキのみが自動的に働く「自動調整」の状態にあります。
そのため、子どもは不安や不快さを感じたときに、だだをこねたり、泣いたりしてしまうのです。そんなとき、子どもにとって身近なおとながおだやかなブレーキの代わりになります。
たとえば、赤ちゃんは泣いたり機嫌が悪くなったりして、「おなかがすいたよ」「眠いのにうまく眠れないよ」と訴えますよね。そこでまわりのおとながミルクをあげたりあやしたりすると、赤ちゃんは不快さから解放されて、心地いい状態を手に入れます。このように、身近なおとなに興奮や緊張、不快感を収めてもらい、一緒に心地よさを味わうことを「協働調整」と呼びます。
少し専門的な言葉でいうと、協働調整とは他者の神経系(おもに自律神経)によって、自身の神経系がよい状態になることを指します。
赤ちゃんの例でいえば、お世話をするおとなの優しい表情やおだやかな声だけで、赤ちゃんの神経系がよい状態になり、協働調整の機会を提供したおとなも心地よさを感じるということになります。
寄り添うことも協働調整のひとつ

泣いたり機嫌が悪くなったりして不快感や空腹を伝える赤ちゃんを、身近なおとながやさしくあやしてお世話することは、協働調整第一歩といえるでしょう。
協働調整を重ねることで「自己調整力」が身についていく
協働調整を重ねるにつれて、腹側迷走神経は発達し、子どももしぜんにおだやかなブレーキを使えるようになっていきます。このように、協働調整によって腹側迷走神経を発達し、機能するようになった力のことを「自己調整力」と呼びます。
自己調整力が育つと、ニューロセプションは警戒モードをゆるめ、それまで危険だと判断しがちだったのが、安全か危険かを正確に判断できるようになります。すると、子どもの「不安ぐせ」もやわらいでいき、身近なおとなの手を借りることなく、不安から抜け出せるようになっていきます。
ただし、腹側迷走神経が育つ間にも、休息・消化を促進する役割をもつ背側迷走神経は、胃や腸をおだやかに動かすなど、見えないところで子どもの心身を整えてくれていることも覚えておいてください。
【出典】『「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論』著:浅井咲子 / イラスト:なか
【著者紹介】
浅井 咲子
公認心理師、神経セラピスト。立教大学卒業後、外務省在外公館派遣員として在英国日本国大使館勤務。その後、米国ジョン・F・ケネディ大学院にて、カウンセリング心理学の修士課程(身体心理学専攻)を修了。オークランドの地域カウンセリングセンターにて研修を行う。帰国後、教育センターや企業内で相談員として勤務。2008 年、セラピールーム「アート・オブ・セラピー」を設立し、自己調整とレジリエンスのある生活を提案し続けている。
著書に『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめるポリヴェーガル理論』(日本文芸社)、『不安・イライラがスッと消え去る「安心のタネ」の育て方』(大和出版)、『「今ここ」神経系エクササイズ』『「いごこち」神経系アプローチ』(梨の木舎)、翻訳書に『子どものトラウマ・セラピー』『トラウマによる解離からの回復』(国書刊行会)、『レジリエンスを育む』『発達性トラウマ治癒のための実践ガイド』(岩崎学術出版社)など。
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ブログ: https://ameblo.jp/artoftherapy/
HP「ART of therapy」: https://assakijp.wixsite.com/artoftherapy/profile
【書誌情報】
『「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論』
著:浅井咲子 / イラスト:なか
3つの自律神経を味方につけて
〈不安ぐせ〉を〈安心習慣〉に変える!
いつも不安にふりまわされて、
シクシク、くよくよ、イライラ……
「うちの子、もしかして不安になりやすい?」
「人より繊細なのかな?」と思ったら
ぜひ本書の「ポリヴェーガル理論」にもとづくワークを試してみてください。
ポリヴェーガル理論は、ステファン・ポージェス博士が提唱した神経理論で、
自律神経を「交感神経」と「2つの副交感神経(背側迷走神経・腹側迷走神経)」の3つとして捉えます。
・人の表情や声色、変化によく気がつく
・大事なイベントの前にネガティブなイメージをしがち
・登園時、登校時はこれから過ごす時間を考えて泣いてしまう
・にぎやかな人の近くにいると、いつもイライラ
こうした「不安ぐせ」は性格から生まれるものではなく、
心と体を守ろうとする安全システムが働くことで生まれるもの。
本書では、ポリヴェーガル理論にもとづき、
子どもの「不安ぐせ」のしくみをやさしく解説しながら、
親子でできるシンプルなワークを紹介します。
不安やストレスを感じても
「わたしは大丈夫」「なんとかなる」と思える力――“レジリエンス”を、子どもと一緒に育てていきます。
がんばって変えようとしなくて大丈夫。
安心は、親子の関わりのなかで、少しずつ育っていきます。
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