広島にピラミッドがある!? 昭和に発見された『日本ピラミッド』の謎【眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話】

広島には「ピラミッド」がある?

広島でピラミッドを発見した男

 広島県にピラミッドがある――と聞いても、多くの人は「そんな馬鹿な」と思うことでしょう。ところが、昭和9年(1934)に、広島でピラミッドを「発見」した人物がいます。キリスト教伝道者で、日ユ同祖論者、オカルティストとしても知られる酒井勝軍です。

 酒井は、京都で講演会を行った際、聴衆の1人から庄原にピラミッドのような山があることを聞き現地調査に赴きました。しかし、なかなか有力な情報が得られずにいたところ、たまたま出会った1人の男性に教えられ、「葦嶽山」の存在を知ったといいます。

 古くから神武天皇陵と言い伝えられてきた標高約815mの葦嶽山は、どの方向から見ても三角形に見える山容で、山頂付近には人工的に積み上げられたような巨石群があります。この山を調査した酒井は、「エジプトのピラミッドの起源は日本にある」という独自の仮説にもとづき、葦嶽山は2万年以上前に築かれた世界最古のピラミッド本殿で、北側にそびえる標高約800mの鬼叫山はその拝殿であると断定。以来、葦嶽山は「日本ピラミッド」として知られるようになりました。

 その後の地質学的な調査の結果、葦嶽山の巨石群は自然の風化によって形成されたものとされましたが、そのミステリアスな景観に惹かれ、今も多くの登山者が葦嶽山を訪れています。

広島の山に残る巨石・奇岩群

葦嶽山・鬼叫山の巨石群

 葦嶽山と隣接する鬼叫山の巨石群は、地質学の観点からは、主に花崗岩の自然な風化作用によって形成されたものと考えられています。しかし、一部の岩については、この場所を聖地と考えた古代人が積み上げるなど、人工的に加工や配置を行った可能性を指摘する声もあります。

 葦嶽山の山容と、山頂付近にある鷹岩。葦嶽山一帯は花崗岩類で構成されており、岩石に亀裂が入ることでブロック状に分かれ、その後の風化作用によって多様な形の巨石群が生まれたと考えられている。

【鬼叫山の「大柱石」】

 葦嶽山に隣接する鬼叫山には、この岩のほかにも「獅子岩」や「鏡岩」などの巨石群が点在。これらも基本的には、岩石が風化した自然地形であると考えられている。

廿日市市にあるもう1つのピラミッド

 廿日市市にある標高約719mの野貝原山は、かつてレジャー施設「のうが高原」があった場所として知られ、山頂付近には「のうがピラミッド」とも称される神秘的な巨石・奇岩郡が点在しています。現在は施設跡地に大規模なメガソーラーが設置されており、車道の一部は立ち入り禁止となっていますが、徒歩での登山により巨石をめぐることが可能です。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』監修:佐々木卓也

【監修者情報】
佐々木卓也(ささき・たくや)

野外歴史地理学研究家。第35回広島文化賞受賞(平成26年度)。昭和29(1954) 年8月1日、広島市佐伯区生まれ。間学苑:時空人論研究所主宰、ひろしま歴史街道トリップ実行委員会座長、広島地名研究会事務局代表、石垣を讃える会代表世話人、棚田学会会員(元監事)、広島市内公民館活動団体指導員、中国新聞文化センター専属講師。広島県立広島観音高等学校卒業、奈良大学文学部地理学科卒業、広島大学大学院文学研究科研究生終了、京都大学教養部人文地理学教室研修員修了。国立呉工業高等専門学校・国立広島商船高等専門学校・国立大島商船高等専門学校・広島修道大学短期大学部講師を歴任。広島県史編纂室第三部会委員・広島市教育委員会調査委員・奈良広島両県町村史編纂委員を歴任。主著『芸備両国の条里遺構』(溪水社)、共著『広島県地名大辞典』(角川書店)、『日本地名基礎辞典』(日本文芸社)、『日本石造文化事典』(朝倉書店)ほか。専門は歴史地理学・地域民俗学・文化人類学・日本地名学ほか。趣味は歴史街道散策・石垣景観探訪・旅行企画策定など。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』
監修:佐々木卓也


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