呉・大崎上島・尾道が誇る三大産地!広島県がレモン生産量日本一を誇る地理的理由と驚きの歴史【眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話】

\おいしくてユニークな広島の食文化/

間違えて植えた苗木が日本一のレモン生産地を生んだ

レモン栽培に適した瀬戸内の気候

広島県は日本一のレモン生産地で、全国の約50~60% のシェアを誇ります。生産量は年間4000~6000t規模で推移しており、近年は年間約6000トンが生産されています。

広島県のレモン栽培は、明治31年(1898)に大長村(現・呉市豊町大長)の農家がネーブルの苗木を購入した際、混入していたレモンの苗木3本を試植したのが始まりといわれています。傾斜地が多く、温暖で雨が少ない瀬戸内の気候が栽培に適していたこともあり、その後、レモン栽培は大長地区から周辺の島嶼部へも普及。昭和28年(1953)には全国のレモンの栽培面積で1位となり、昭和38年(1963)には生口島に「レモン谷」と呼ばれる地域もできるほど生産が盛んになりました。

ところが、昭和39年(1964)のレモンの輸入自由化で海外から値段の安いレモンが大量に輸入され、国産レモンの価格は大幅に下落。当時、多くの県内の生産者がレモンの木の伐採を余儀なくされましたが、1970年代以降、輸入レモンの防カビ剤(ポストハーベスト農薬)問題への懸念から、安全・安心な国産レモンが再評価され、再植栽が進められました。現在、国内のレモン市場は外国産が約9割を占めますが、国産レモンは「防腐剤不使用」を強みとして、広島県を中心にシェア拡大とブランド化が進められています。

レモン三大産地とレモン鍋

広島のレモンは尾道市や呉市などの島嶼部が主産地で、JA広島果実連を中心に厳しい品質基準で選別されたものが「広島レモン」として出荷されています。生食用の果実だけでなく、レモンケーキやジャム、レモンサワー、皮を使った加工品など、産地ならではの多様な商品が展開されています。

広島県のレモン三大産地

呉市(蒲刈町・豊町)
 豊町の大長地区は広島におけるレモン栽培発祥の地。大崎下島を中心に生産が盛ん。
大崎上島町
 島全体がレモンの産地として知られ、レモンを核とした地域振興「レモン島構想」を推進。
尾道市(瀬戸田町)
 日本一の生産量を誇る「瀬戸田レモン」の産地。生口島や高根島などが中心。

広島名物「レモン鍋」

 尾道市生口島(瀬戸田町)の名物料理「瀬戸田レモン鍋」は、薄切りの特産レモンを鍋いっぱいに敷き詰め、カキやタコ、鯛など瀬戸内の魚介とともにさっぱりとした醤油ベースの出汁で味わう、爽やかな酸味が特徴の鍋料理。レモン鍋を提供するお店として、瀬戸田町の「御食事処ちどり」が有名です。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』監修:佐々木卓也

【監修者情報】
佐々木卓也(ささき・たくや)

野外歴史地理学研究家。第35回広島文化賞受賞(平成26年度)。昭和29(1954) 年8月1日、広島市佐伯区生まれ。間学苑:時空人論研究所主宰、ひろしま歴史街道トリップ実行委員会座長、広島地名研究会事務局代表、石垣を讃える会代表世話人、棚田学会会員(元監事)、広島市内公民館活動団体指導員、中国新聞文化センター専属講師。広島県立広島観音高等学校卒業、奈良大学文学部地理学科卒業、広島大学大学院文学研究科研究生終了、京都大学教養部人文地理学教室研修員修了。国立呉工業高等専門学校・国立広島商船高等専門学校・国立大島商船高等専門学校・広島修道大学短期大学部講師を歴任。広島県史編纂室第三部会委員・広島市教育委員会調査委員・奈良広島両県町村史編纂委員を歴任。主著『芸備両国の条里遺構』(溪水社)、共著『広島県地名大辞典』(角川書店)、『日本地名基礎辞典』(日本文芸社)、『日本石造文化事典』(朝倉書店)ほか。専門は歴史地理学・地域民俗学・文化人類学・日本地名学ほか。趣味は歴史街道散策・石垣景観探訪・旅行企画策定など。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』
監修:佐々木卓也


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