巣の場所で色が変わる?卵の色と模様に隠された鳥の生態【鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書】

鳥の卵のしくみ
鳥は、どんな種でも例外なく卵を産みます。そして卵の基本的な構造は、すべての種で共通しています。一方で、色や模様、形、大きさは種によって大きく異なります。こうした違いには、それぞれの鳥のくらし方や繁殖のしかたが反映されており、長い進化の歴史の中で形づくられてきたものです。
鳥の卵とは
鳥の卵の構造は、主に卵黄、卵白、卵殻で構成されています。外側の卵殻は炭酸カルシウムからなり、衝撃から内部を守り、乾燥やバクテリアなどの進入を防ぐ働きをします。また、殻にはたくさんの小さな穴があり、ガス交換を行います。内側には卵殻膜があって細菌防御の働きをします。
卵の鈍端部には、外殻膜と内殻膜の間に「気室」と呼ばれる隙間があり、呼吸や水分調節の役割をします。卵白は水分供給や衝撃吸収を担い、卵黄は脂質やタンパク質を含む主要な栄養源です。卵黄は「からざ」によって中央に固定され、受精卵では胚が発生し、やがてヒナになります。

卵ができる過程
一般に、鳥の卵は卵子が卵巣から出て(排卵)からふつう約24時間後に産み落とされます。まず、卵子が排卵されると「輸卵管」という管の中に入り、そこで精子と出会うと受精し受精卵になります。受精卵は輸卵管を少しずつ進みながら、卵白に包まれます。さらに、その外側に薄い卵殻膜ができ、最後に子宮の中で硬い卵殻がつくられます。このとき、殻に地色がつきます。 卵殻ができたあとには、色素が分泌されて表面につき、斑点やまだら模様などができます。色素がつく途中で卵が動くと、線のような模様になることもあります。
形と大きさ
卵の形は種によってさまざまで、ニワトリのような卵形のほか、フクロウ類のようなほぼ球形、アホウドリ類のような円筒形のものもあります。なぜこのような違いが生まれたのかについては諸説あり、はっきりとはわかっていません。かつては、先の尖った側を中心に回転することで巣から落ちにくくなる説が有力でした。しかし近年では、産卵数や生息環境、骨盤の形、飛行能力との関係など、さまざまな説が提唱されています。
鳥の卵で最大は、鳥類最大種であるダチョウです。大きなものでは長径17.5cm、短径14.5cm、重さ1.6kgにもなります。反対に最小クラスなのは、鳥類最小種であるマメハチドリや、コビトハチドリの卵で、長径約1cm、短径約0.8cm、重さはわずか0.3~0.4gです。
一般に、大きな鳥ほど大きな卵を産む傾向があります。しかし、体重に対する卵の重さの割合で比べると逆になり、大きな鳥ほど小さな卵を産みます。
ただし、キーウィ類は例外です。体重約1.2kgしかないにも関わらず、約300gもある大きな卵を産みます。これは体重の4分の1から3分の1にもなる大きさです。なぜこれほど大きな卵を産むのかについても諸説ありますが、まだ明確にはわかっていません。

色と模様
卵の色も、種によってさまざまです。キツツキ類やフクロウ類のように、捕食者に見つかりにくい木の穴で産卵する鳥は、白い卵を産みます。一方、木漏れ日が差し込む薄暗い場所に営巣する鳥は、青い卵を産む傾向があります。また、木の枝や草で巣を作る鳥では、褐色や褐色の斑点模様のある卵が多く見られます。
卵の色や模様については、ほかにもさまざまな説があります。例えば、ウミガラスの卵は色や模様の変化に富んでおり、親が自分の卵を見分けるためだと考えられています。また、斑点模様には卵殻の強度を高める働きがあることもわかっています。
ただし、色の理由がまだわかっていない種も少なくありません。さらに、捕食者であるほ乳類は色をあまり識別できず、鳥自身も人とは異なる色の世界を見ています。そのため、人の見た目だけでは、卵の色や模様の機能を正しく判断できないのです。
【出典】『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』著:柴田佳秀/監修:小宮輝之
【著者紹介】
柴田 佳秀 (しばた・よしひで)
科学ジャーナリスト。1965年生まれ。10歳から野鳥観察をはじめる。東京農業大学卒。自然番組のディレクターとして世界各地の鳥類を取材。2005年からフリーランス。図鑑・書籍の執筆や講演、自然番組の監修などに携わる。著書多数。日本鳥学会会員、都市鳥研究会幹事。
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【監修者紹介】
小宮 輝之 (こみや・てるゆき)
1972年多摩動物公園の飼育係に就職。2004〜2011年まで上野動物園園長。日本動物園水族館協会会長、日本博物館協会副会長を歴任する。2022年から日本鳥類保護連盟会長。環境省トキ野生復帰検討会委員、山階鳥類研究所評議員などを務める。
【書誌情報】
『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』
著:柴田佳秀/監修:小宮輝之
「鳥検定」(2027年初頭に第1回実施予定)の公式ガイドブック。検定試験の問題はすべて本書から出題される。
野鳥の観察を趣味としている人たちをはじめ、文鳥やインコなど鳥をペットとして飼っている、コンパニオンバード愛好家など“鳥ファン”は数多い。2024年末~25年初めに国立科学博物館で開催された特別展「鳥」は、多くの来場者で賑わいを見せた。
本書は、鳥の特徴や種類、名前のルールをはじめ、鳥のからだのイラスト解説などの基本的な知識を掲載。また、飛び方や声、さえずり、求愛給餌といった鳥の興味深い行動にも触れる。さらに、鳥をからだや行動の特徴によってダチョウ、カモ、キジなどの「なかま」に分類し、カラー写真を使って図鑑の体裁でわかりやすく紹介する。
この本は、「鳥検定」の公式ガイドブックとして鳥の雑学的知識が得られる内容にするとともに、知識の正誤が確認できる受検用練習問題も収録。まさに「受検が待ち遠しくなる」必携の1冊!
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