特別天然記念物ライチョウは氷河時代の生き残り!? 絶滅回避の取り組みも進行中【鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書】

高山に生き残った氷河時代の鳥ライチョウ

多様な世界のライチョウ

 ライチョウ類は、かつてはライチョウ科に分類されていましたが、現在はキジ科の鳥に分類され、北半球の寒冷地を中心に約20種が知られています。日本には、ライチョウとエゾライチョウの2種が生息しています。ライチョウは、本州中部の高山に分布し、ハイマツ帯などを主な生息地とする日本を代表する高山鳥です。

 しかし、世界的に見るとこれはむしろ例外で、針葉樹林などの森林にすむ種、ツンドラや草原などの開けた環境にくらす種もいて、生息環境はさまざま。北海道で見られるエゾライチョウは森林性ライチョウで、平地でも見られます。

氷河時代の生き残り

 日本のライチョウは、氷河期の遺存種としても知られています。最終氷期には、日本列島にも寒冷な環境が広がっていましたが、その後の温暖化によって、ライチョウの分布域はしだいに高山に限られるようになりました。そのため、現在のライチョウは氷河時代の生き残りともいえ、世界で最も南に分布している個体群なのです。

 ライチョウは寒冷な環境への適応が進んだ鳥です。冬の前には羽色が白く変化し、雪景色の中で優れた保護色となります。また、あし先まで羽毛が生えており、保温に役立つだけでなく、雪の上を歩きやすくする働きもあります。雪のない季節には褐色の羽衣となり、この時期も周囲の環境に溶け込む保護色として機能します。

 食性は主に植物食で、芽や葉、果実、種子などを食べますが、昆虫などの小動物を利用することもあります。繁殖期には地上に巣を作り、メスが抱卵とヒナの世話をします。ヒナはふ化後すぐに歩くことができ、自ら食べものを探しながら成長します。

ライチョウを守る取り組み

 ライチョウは、国の特別天然記念物に指定され、古くから高山にすむ神聖な鳥として大切にされてきました。そのため、人が近寄ってもあまり逃げません。

 しかし近年は、地球温暖化などの影響により、それまでいなかったキツネなどの捕食者が高山まで現れるなど、生存の危機に直面しています。

 そこで、国や県による保護プロジェクトが進められており、貴重な個体群を将来へ引き継ぐための取り組みが続けられています。


【出典】『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』著:柴田佳秀/監修:小宮輝之

【著者紹介】
柴田 佳秀 (しばた・よしひで)
科学ジャーナリスト。1965年生まれ。10歳から野鳥観察をはじめる。東京農業大学卒。自然番組のディレクターとして世界各地の鳥類を取材。2005年からフリーランス。図鑑・書籍の執筆や講演、自然番組の監修などに携わる。著書多数。日本鳥学会会員、都市鳥研究会幹事。
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【監修者紹介】
小宮 輝之 (こみや・てるゆき)
1972年多摩動物公園の飼育係に就職。2004〜2011年まで上野動物園園長。日本動物園水族館協会会長、日本博物館協会副会長を歴任する。2022年から日本鳥類保護連盟会長。環境省トキ野生復帰検討会委員、山階鳥類研究所評議員などを務める。

【書誌情報】
『鳥検定公式ガイドブック 鳥の教科書』
著:柴田佳秀/監修:小宮輝之


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